ヤマハ発動機のミッドウェイト・スーパースポーツの雄スーパースポーツYZF-R6の2006年型は,量産されている自動二輪車として初めて電子制御型のスロットルを採用した。
ヤマハはこれを「YCC-T(Yamaha chip controlled throttle)」と呼ぶ。FJR1300Aの上位機種である「FJR1300AS」に採用した電子制御シフト装置とともに、自動二輪車の電子制御化を推進する要との位置付けだ。
スーパースポーツにX-by-wire化の流れ YCC-Tでは,まずライダーが操作するアクセル操作をコントロール・ユニット(ECU)で検知する。そして走行状態に応じた最適なスロットル・バルブ開度を決定,モータ制御でバルブ操作を行う。従来はアクセル部から直接ワイヤーなどでキャブレタやインジェクタを操作していたものを電気信号で制御する、いわゆる二輪のX-by-wire化の流れをくんだものである。 ヤマハはこのために、従来の処理能力の「5倍に相当する」という3マイクロプロセサ構成のECUを開発して採用した。車輪の駆動トルク曲線と吸排気流速を調整することによって、インジェクタ採用の高回転型エンジンにありがちな急激な加速(いわゆる「ドンツキ」)を防ぐことができたとする。 車体サイズは2040mm×700mm×1100mm。乾燥質量は161kg(1人乗り仕様)。排気量は599cc。最高出力は1万4500rpmで93.4kW(127PS)。最大トルクは1万2000rpmで66N・m(6.7kgf・m)。シート高は850mm。 ■ YZF