うるう秒とは - 地球の回転によって生じた時間のずれを調整するため、科学者が2006年の開始を1秒遅らせることになった。世界時で午前零時になった瞬間に、世界中の原子時計に1秒足すして、23時59分59秒と00時00分00秒の間に、23時59分60秒を挟む。この結果、今年最後の1分間は61秒となる。「うるう秒」が採用されるのは7年ぶり。
現行の世界の時刻制度では、世界中の公的機関の高精度原子時計約230台のデータを基にパリ郊外の国際度量衡局(BIPM)で原子時計上の時刻である国際原子時が決定され、天文観測による地球時刻は世界の天文台の観測データを元にやはりパリにある国際地球回転観測事業(IERS)によって決定される。「うるう秒」挿入の決定はIERSによってなされ、72年以降に22回にわたって合計22秒の「うるう秒」が挿入された。 かつては「地球は24時間ちょうどで自転している」と信じられていた。だから、1日を24時間で割った8万6400分の1を「1秒」としていたのである。ところが、17世紀末から18世紀にかけて、まじめな科学者たちが「地球の自転速度が遅くなっている」ことを発見した。当時の月食の観測データと古代の観測データが合致しないことを追及した結果、地球の1日の自転が1世紀あたりで数ミリ秒(1000分の数秒)ずつ遅れていることを解明した。
「うるう年」は知っているけど「うるう秒」はよく判らない、という人が多いのではないだろうか。「うるう年」はほぼ4年に1度体験するが、「うるう秒」は忘れたころにたまにやって来るからだ。しかも、たかが1秒のことであり、気にしなければ意識をしないうちに過ぎてしまう。 「うるう年」は現在の暦のクレゴリオ暦(1582年に導入=1年は365.2425日)の元となった先代のシリウス暦(紀元前49年に導入=1年は365.25日)から始まり、すでに十分に定着しているが、「うるう秒」は1972年から始まった新顔だ。 ちなみにシリウス暦の前に古代エジプトで使われていた暦では、1ヵ月を30日としていたため、年末に5日間の調整日を設け「働くのは良くない日」として祭日にしていたという。おおらかで、うらやましい暦だ。