宇宙人探しで有名な、米国カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)を拠点にして、地球外知的生命体の探索を目的に進められている「SETI@home」(Search for Extraterrestrial Intelligence at Home)プロジェクトは、昨年よりテスト運用を開始した新ソフトウェアによるシステムへ、来月から完全に移行する方針を正式発表した。
昨年6月、SETI@homeは、これまで提供してきた専用プログラム「SETI@home Classic」とは異なった、オープンソースで開発されたプラットフォーム「BOINC」(Berkeley Open Infrastructure for Network Computing)をベースとする新プログラム「SETI@home/BOINC」の提供を開始。登録ユーザーに対しては、同じアカウントのままSETI@home/BOINCへと移行することを促して、新システムの安定性などをチェックしてきたという。すでに今春からは、新規登録ユーザーの受付をSETI@home/BOINCのダウンロードのみ対象とする方針が採用されていたようで、今回新たに、来月15日にはSETI@home Classicによる運用を終了することがアナウンスされた。
SETI@home/BOINCは、Windows / Linux / Solaris(SPARC) / Mac OS Xのマルチプラットフォームに対応。旧バージョンのSETI@home Classicと比較して、より柔軟なデータアーキテクチャを採用した拡張性に富む特徴を備えるとされている。また、地球外知的生命体を探索する際、有力候補とされる電波信号データの再観測・解析作業にスムーズに対応できたり、これまでとは違ったタイプの電波信号データを解析する新アルゴリズムを自動的に追加できたりするなど、今後のプロジェクトの発展にも期待できそうだ。一方で、BOINCをベースにした、SETI@home以外のプロジェクトに同時参加できる性能も備わっており、ユーザーは、各プロジェクトへの参加度を自由に設定して、グリッドコンピューティングによる研究の世界を効率的に広げていけるという。