砂糖を焼いて煮た物質が、石油製品を作る性能のよい触媒として使えることを、東工大の研究チームが見つけた。繰り返し使え、消費エネルギーが少なくて済む「エコ触媒」だといい、ガソリン添加剤などの製造で工業利用する研究も進んでいる。10日付の英科学誌ネイチャーで発表した。
触媒は、それ自身は変化せずに化学反応を活発にする物質で、石油製品の製造には不可欠だ。主流の硫酸は、再利用できないうえに毒性・腐食性が高い。液体のため、製品が液体だと後で分離するのに手間取るという難点もある。 東工大資源化学研究所の原亨和助教授らは、固体の触媒作りを模索。砂糖やでんぷんなどの炭素化合物を300〜400度で焼き、砂糖でいえばカラメル状態と炭のあいだの「中途半端な炭」にして硫酸で煮ると、硫酸並みの触媒能力を持つ固体の化合物ができた。 廃油や植物油から作り、二酸化炭素(CO2)削減効果が期待されるバイオディーゼル燃料の製造でも、液状の触媒が使われている。できた燃料との分離に手間とコストがかかり、結果的に大量のエネルギーが消費される。原助教授らの触媒は材料が安価で製造工程もシンプルなため、ディーゼル車の多い海外でも注目されているという。