「UWB」Ultra-Wideband : ウルトラ・ワイド・バンドという無線規格で、光ファイバー以上の速度にあたる毎秒100―500メガ(メガは100万)ビットで通信できる。信号が届く距離は10メートル程度で、屋外でのネット接続などには向かず、室内で動画のような大容量データを送受信するのに役立つ。
現在家庭内などで使われている無線LAN(構内情報通信網)に比べ速度が2倍以上で、ハイビジョン映像など高精細な動画を短時間で送受信できるのですが、この新しい無線LANの技術を使えば、AV機器同士の接続に必要なオーディオケーブルやビデオカーブルなど何本ものケーブルが必要なくなる。 UWBの利点 1.低消費電力 UWBは搬送波を使用せずに1ナノ秒程度の超短パルス波で情報を送ります。超短パルス波を利用しますので大変信号放射の時間が短く搬送波を使用しないため、従来の無線システムと比べ大変消費電力が低いものとなっています。この低消費電力により、現在のモバイル端末に比べてはるかに長時間の連続使用に耐えられるようになります。 2.耐フェージング特性 超短パルス波を利用しているため時間分解能が高く、そのため他の端末からの干渉やマルチパス等の妨害波に対して大変強いシステムとなっています。 3.高速通信 携帯電話やノートPCの普及に伴い無線システムは大変注目を集めています。このような中で高速なデータ通信への需要が大変高まっています。最近ではIEEE802.11aに準拠した製品が登場しています。これは最大で54Mbpsの通信が可能となっています。その他にもより高速な通信を目指して様々な製品や規格が検討されています。 一方、UWBは近距離間通信において100Mbps以上の高速な通信が可能とされていると同時に数Gbpsの高速なデータ通信の可能性も秘めているため、大いに注目を集めています。 4.高精度位置検出 UWBは距離分解能が非常に高いです。そのため、誤差数cm内での位置検出が可能とされています。こうしたことからレーダや室内GPS等への利用が考えられています。その他にも核磁気共鳴映像診断装置や透過映像システム等への利用も検討されています。このことからも分かるように、UWBはこの位置検出特性によって、通信分野だけでなくレーダ分野や医療分野といった様々な分野から注目を集め研究されています。
この技術を活かそうと、ソニーや日立製作所、東芝、三菱電機などはAV(音響・映像)機器やパソコンなどの間で配線コードなしに映像をやり取りできる高速無線技術の実用化を始める。 この無線LANの使用する電波帯域(周波数)を総務省が決めたのを受け、来夏にも対応製品を発売する見通し。インターネットからパソコンに取り込んだ動画を大画面テレビに送って見るなどの使い方を提案し、機器の買い替えを促す。