BBモバイル
4月から北海道大学と、上り/下りの通信時間比率を細かく制御するパケット伝送技術TD-CDMAの実証実験を、5月には現行の第3世代携帯電話(3G携帯)が採用するパケット伝送技術W-CDMAの実証実験を開始。6月からはノーテルネットワークスと無線LAN/3G携帯の相互切替や、高速パケット伝送技術HSDPAの実証実験を実施している。また7月には日本エリクソンとも無線LAN/3G携帯の相互切替に成功。10月にはHSPDA通信のハンドオーバー実験にも着手した。
現在まで継続して基地局交渉を続けており、周波数割当てを受ければ、2006年秋にも試験的にサービスを開始するとみられる。ただし参入当初は従来型の端末を投入し、ベンダー・ファイナンス方式で設備投資を抑制する方針という。
ソフトバンクがボーダフォンを買収、買収額は1兆7,500億円
ソフトバンクは17日、ボーダフォン・グループPLCとの間で、ボーダフォンの買収について合意したと発表した。買収額は約1兆7,500億円。ソフトバンクは、ヤフーと携帯電話事業における業務提携も同時に発表した。
買収は、ソフトバンク全額出資子会社によって、ボーダフォンの発行済普通株式のうち約97.7%を取得する形で行なわれる。買収企業価値は約2 兆円と算定。買収のための資金は、ソフトバンクが2,000億円、ヤフーが1,200億円を出資するほか、LBO(Leveraged Buy-Out)によるノンリコースローンで1兆1,000億〜1兆2,000億円を調達する予定だ。
ボーダフォンインターナショナルホールディングスB.V.は、ソフトバンク全額出資子会社に対して、3,000億円相当の優先株式新株予約権(発行価額は無償)、1,000億円相当の劣後債の投資を行なう予定で、当該投資総額の4,000億円はボーダフォン買収の支払いに充当する見込み。株式取得日は「1〜2カ月中」としている。
なお、ボーダフォンPLCは、ソフトバンク全額出資子会社に対し、上記の優先株式などを保有している間、取締役1名を指名することができるという。
ソフトバンクグループでは「今回の買収によって固定、移動通信事業を有する、連結売上高2.5兆円規模、提供回線数約2,600万回線の総合通信事業者となる」とコメント。買収によるシナジーとしては、1)Yahoo! JAPANを中心とする有力なコンテンツ、サービスと携帯電話が融合した戦略的統合モデルを構築することで、これまでにない革新的なモバイルサービスの提供、2)ソフトバンクグループとボーダフォンが持つ通信ネットワークや販売チャネルの統合などの効率化、3)2006年11月に予定されているモバイルナンバーポータビリティ以前からのスムーズな事業展開、4)モバイルコンテンツ配信事業などにおける合弁事業の可能性――の4点を挙げた。
また、ヤフーとの業務提携については「携帯電話端末のポータルサイトとして、ヤフーからサービス、コンテンツなどの全面的な提供を受ける」とコメント。「PCとモバイルのユーザーにシームレスな環境を構築し、革新的なサービスを提供していく」としている。
なお、ソフトバンクでは、本年度連結財務諸表における最終的な影響額について「現段階では未確定で、確定した時点で速やかに報告する」としている。
イー・モバイル
5月に、1.7GHz帯W-CDMA方式での実験局免許を取得するとともに、次世代無線LAN規格といわれるWiMaxの携帯電話向け拡張版WiMax Mobileを総務省に提案。さらに同月ニフティと仮想移動体通信事業者(MVNO)契約について交渉。6月にトーカイコムなどと協業検討で合意、7月にはインテルと端末開発で提携するなど、上半期に活発な動きをみせた。
8月には東京放送()と資本提携。9月からはヨドバシカメラでコンセプト・モデルを展示している。サービス開始は2007年3月を予定しており、当初は大都市圏でのデータ通信サービスを中心に展開するとしている。
がイー・モバイルに100億円の出資。通信と放送の融合を目指す
イー・アクセスの子会社であるイー・モバイルは31日、東京放送()を割当先とする総額100億円の第三者割当増資による資本提携を行なうと発表した。
イー・モバイルは、イー・アクセスが総務省に対して割り当てを希望している1.7GHz帯を利用したモバイルブロードバンド事業を企画・運営するための会社。8月15日には、親会社であるイー・アクセスを割当先とする約300億円の第三者割当増資を行なっており、今回はさらに100億円の第三者割当増資をに対して実施する。
は2005年内にVODサービスを予定
ブロードバンドモバイル事業の今後の予定も示された。すでに8月22日より1.7GHz帯の新規参入申請受け付けが行なわれており、千本氏は「2005年内には免許が交付されるのではないか」とコメント。2006年度中にデータ通信サービスを開始し、エリア拡大が進んだ上で音声通信サービスを投入。また、 とイー・モバイルによる放送と通信の統合サービスも「できるだけ早く具体化したい(千本氏)」としている。
今回の提携は独占的なものではなく、イー・モバイルは今後もさらに戦略パートナーとのアライアンスを進めていく方針であるほか、でもイー・モバイル以外のキャリアともビジネスを展開していく。今回の第三者割当増資でイー・モバイルは400億円規模の会社となったが、千本氏は資本金 1,000億円を今後の目標として掲げた。
会見に出席したの原田俊明執行役員は、がフジテレビ、テレビ朝日と共同で設立したトレソーラの代表取締役社長も務めているが、トレソーラに関しては「2回の配信実験を終え、引き続き事業性などを含めて検討を進めているが、権利処理の問題などがあり、右から左へリッチコンテンツを出す状況ではない」とコメント。「トレソーラのメンバーではないが、日本テレビもVODサービスを予定している。しばらくの間はどのような事業の進め方が効果があるのかを各社が模索していくことになるのではないか」との考えを示した。
ではモバイル事業以外に、固定向けのサービスも積極的に展開していく方針。原田氏は「固定とモバイルを分けて考えてはいない」という点を強調した上で、「遅れるかもしれないが、2005年内には我々もVODサービスを予定している」と語った。
13年ぶりの携帯新規参入を「画期的に高速なサービスでスタート」
2006年3月31日、携帯電話市場で13年ぶりの新規参入となるイー・モバイルがサービスを開始した。HSDPA規格を利用し、下り最大3.6Mbps、上り最大384kbpsでインターネット接続が利用できる。
アイピーモバイル
7月に無線機器関連イベント「WIRELESS JAPAN 2005」でTD-CDMA通信を実演。9月末に2GHz帯での免許交付を申請。10月には楽天など4社を対象に第3者割当増資を実施して、資本を増強している。サービス開始は2006年10月を想定しており、当初は東京、名古屋、大阪の3都市でデータ通信に専念するとしている。
既存の携帯電話事業者の動向にも注目。NTTドコモが2005年度第3四半期中に東京、名古屋、大阪地域での1.7GHz帯の周波数割当を申請する計画を挙げ、3G携帯の普及により、周波数容量に余裕がなくなってきていると分析している。
アイピーモバイルが記者会見開催。携帯電話事業は今後も続行
アイピーモバイルは10日に記者会見を開催。筆頭株主であるマルチメディア総合研究所の所有するアイピーモバイル株を森トラストへ譲渡すると発表し、一部で報道されていた携帯電話事業の参入断念という報道を否定した。
代表取締役執行役員社長の杉村五男氏は、「今後も総務省より認定いただいた開設計画に基づき、携帯電話事業を進めていく」とコメント。「経営方針や事業計画などは今後筆頭株主となる森トラストと協議を進める」とした上で、「一部で報道されている携帯電話事業参入断念という事実はない」と否定した。
森トラストへの株式譲渡に関しては3月中旬から話合いが進んでおり、発表会の前日である4月9日に最終合意に達したと杉村氏は説明。出資比率は公開していないがマルチメディア総合研究所の株式数は半数を超えており、今回の株式譲渡を受けて森トラストが筆頭株主になるとした。
杉村氏によれば、今回の筆頭株主変更についてはすでに総務省にも報告済みだという。ただし、サービス延期など事業計画の変更に関しては、サービスの延期を発表した時点から変更計画を総務省には申請していないとした。
アイピーモバイル筆頭株主がNextWave Wirelessに。森トラストが全株売却
アイピーモバイルは13日、筆頭株主である森トラストが所有するアイピーモバイル株を米NextWave Wirelessに譲渡することで合意したと発表した。
アイピーモバイルは、2005年11月に総務省より2GHz帯の割り当てを受けTD-CDMA方式を利用した商用のワイヤレスサービスを予定していたが、サービス開始時期は当初の2006年10月開始予定から2007年春へ延期。さらに、2007年1月にはサービス開始を2007年秋に延期し、 2007年4月には当時筆頭株主であったマルチメディア総合研究所の所有するアイピーモバイル株を森トラストへ譲渡している。
今回森トラストは、所有するアイピーモバイル株式164,422株をNextWave Wirelessに譲渡することで合意したと発表。譲渡後は、NextWave Wirelessはアイピーモバイル株式の69.23%を所有し筆頭株主となる。
取得金額や株式の引き渡し期日などの契約条件の詳細は非公表だが、NextWave Wirelessは、アイピーモバイルがTD-CDMA方式を利用したデータ通信サービスを2007年末までに展開できるよう支援するとしている。また、アイピーモバイルは2007年11月のサービス開始に向けて準備をしているとし、事業展開の内容についてはNextWave Wirelessを交えて改めて発表するとしている。