“F3世界一決定戦”マカオGPが11月17日から4日間、マカオの市街地コースで開催される。
未来のワールドチャンピオンを夢見て−。一貴が、2年目の挑戦となるマカオGPに勝負をかける。 「今年一番の目標は、マカオGPで結果を出すことです」 昨年のマカオの悔しさは忘れない。予選8位から臨んだ予選レースのスタートでまさかのエンスト。1周もできず28番手となった。最後尾スタートとなった決勝もクラッシュ続出の中、粘って完走したが、13位という不本意な結果に終わった。 リベンジに燃える今季、全日本F3シリーズでは20戦中4勝を挙げて、日本人最高のランク2位と健闘。「目標はチャンピオン獲得だったので60〜70点」と自己採点は厳しいが、テクニック、精神力とも進歩したのは確実だ。 「マカオはコースが狭く予選が大事。決勝は落ち着いて自分のレースをすれば必ず結果が出る」 周囲から“親の七光”とみられるのはいやと、父が校長を務めるホンダ系のSRS−F(スズカ・レーシングスクール・フォーミュラ)入学をあえて避け、02年にライバルのトヨタ系FTRS(フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクール)に進んだ。 そんな強い意志に加え、父から譲り受けた走りのDNAを生かし、03年には入門レースのフォーミュラ・トヨタに参戦し、いきなりシリーズチャンピオンを獲得。04年には早くも全日本F3に昇格してランク5位と活躍した。夢のF1参戦に向けて、着実に歩を進めている。 このマカオGPは、まさにF1への登竜門だ。90年には帝王M・シューマッハ、01年には佐藤琢磨が、このサーキットで優勝し、F1へステップアップした。 「来季はできればトヨタのスカラシップで欧州のF3に行きたい。そのためにもマカオで絶対表彰台に上りたい」 一貴の言葉に力がこもる。F1ドライバーの血を引くサラブレッドが、最高峰の舞台へ続く階段を駆け上がる。