来年2月10日にイタリア・トリノで開幕する第20回冬季オリンピック・トリノ大会の開幕まで、2日であと100日となる。
当初は工事の遅れが心配されていた競技施設もほぼ完成し、これからテストイベントが開催される。一方、財政面の問題が再び持ち上がり、100日前記念イベントが中止になるなど不安も影を落とす。
五輪関連施設の建設を担当する「トリノ2006エージェンシー」のクラウディロ・アニエーゼ広報責任者は「ほとんどの競技施設が完成し、安心している」と、自信を見せる。 工事の遅れで昨季、プレ大会を開催できなかったスピードスケート会場は、9月中旬に初めて氷が張られた。現在は、12月上旬に行われるワールドカップ(W杯)に向けて、製氷などの最終調整が急ピッチで進んでいる。 昨季、練習中に負傷者が続出したリュージュのコースは改修が終了。10月27日に行われた試走では、事故が頻発したカーブで、選手がコース中央を通過できるようになり、安全性確保が確認された。 日本の建築家、磯崎新氏が設計した男子アイスホッケー会場では11月7日から、プレ大会が行われる。ただ、一部客席ができていないため、観客数は約半分の5000人にとどまる。 一方、財政的な不安は再燃している。イタリア政府は、来年度の五輪に関する国家予算を削減した。この影響で、トリノ冬季五輪組織委員会(TOROC)は1600万ユーロ(約22億4000万円)の予算不足の可能性が生じたのが、100日前記念イベント中止の理由だ。イベントは、100万ユーロ(約1億4000万円)の予算で、11月4日に五輪のテーマ曲を担当するイタリアの人気ポップス歌手らを招いて、フィギュアスケート会場でコンサートを行う予定だった。 TOROCは「政府の予算原案から外れただけで、大きな問題にはならない」としているが、財政問題を巡り、政府と組織委員会がもめてきた経緯があるだけに、今後の動向が注目される。