日本テレビ放送網の人気バラエティー番組「進ぬ!電波少年」を手がけた「T部長」こと、土屋敏男氏が再び動き出した。 深夜番組「第2日本テレビ」でインターネット連動の番組づくりを仕掛けている。「アポなし取材」で名をはせた土屋氏ならではのたくらみが随所に見て取れる。
「第2日本テレビ」は地上波テレビとインターネット放送の二段構えだ。テレビで15分間放送した後、続く2時間はネット上で生放送する。日本テレビが27日から始めるネットでの番組配信事業「第2日本テレビ」の前触れを兼ねている。
楽天がTBSの株式を大量に取得して、「放送と通信の融合」があらためて取りざたされるなか、日本テレビが本格的に取り組むテレビ番組のネット配信事業に、仕掛け人として送り込まれたのが、同局きってのアイデアマンとして定評のある土屋氏だ。9月1日付けで新設された第2日本テレビ事業本部のVOD事業部部長に就いた。
予告編的なウェブサイトとして「第2日本テレビ準備室」が立ち上がった。トップページは、おそらくいずれは一つ一つに番組やコーナーの名前が書き込まれるはずの数十の看板で埋め尽くされている。ただ、ほとんどの看板には「準備中」とだけ書かれている。まだ「第2日本テレビLIVE中継」「もぐら骨董堂」など数えるほどのコーナーしか入り口がない。視聴者をじらしながら少しずつベールをはいでいく、「電波少年」シリーズを思わせる演出手法だ。
27日から過去の「電波少年」をはじめとする番組や短編映画の有料配信を始める予定だ。「ショートフイルム専門店」では視聴者が呼び起こしたい感情から「逆引き」するように、作品を選べる仕掛けだ。泣きたいときにはシリアスドラマ、笑いたいときはコメディといった趣向だ。
民放各社はこれまで収益配分や権利処理などの問題を理由に、過去の番組のネット配信を渋ってきた。しかし、今春のライブドアとフジテレビジョンの騒動をきっかけに、風向きが変わった感がある。各社各様の取り組みを進めるなか、お得意の深い時間帯でうごめく土屋氏の手の業界関係者ならずとも気になるところだろう。 「第2日本テレビ」は9円から99円で配信 日本テレビ放送網は25日、映像配信を行うウェブサイト「第2日本テレビ」を報道関係者向けに公開した。日本テレビの過去の番組やオリジナルコンテンツを9円から99円で配信する。27日の午前1時25分(野球中継の延長があった場合は変更あり)同局系で放映する番組「第2日本テレビ」の放映開始とともにオープンする予定。11月には携帯電話向けにも配信を始める。 「オリジナルコンテンツも含め、映像コンテンツメーカーとしてよりおもしろいものを提供していく」(第2日本テレビ事業本部VOD事業部長土屋敏男氏)という。過去の日本テレビの番組のほか、お笑いタレント松本人志さんのコントなどを提供していく。 過去の番組からは土屋部長が「T部長」として登場したバラエティー番組「電波少年」シリーズをはじめ、「はじめてのおつかい」などの名場面集、短編映画、スタジオジブリの選んだ映画、1953年の日本テレビの放送開始時から90年3月までのニュース番組などを有料で配信する。「伊東家の食卓」で登場した日常生活の「裏技」は検索可能で、無料で提供するという。 利用者は無料の会員登録をすると、1000ポイントを初回ログイン時に受け取れる。同サイトに設けた「商店街」の「福引所」で広告を見るとポイントがもらえる仕組みだ。映像の視聴前に決済方法を選ぶ。1ポイントは1円換算でクレジットカード、ウェブマネーで使うことができるという。 ■ 電波少年 http://www.ntv.co.jp/denpa/ ■ 第2日本テレビ http://www.ntv.co.jp/dai2-junbi/