日立製作所は10月17日、自動車のドアハンドルなどに組み込める指静脈認証技術を開発したと発表した。ハンドルを握る自然な動作で本人確認−解錠が可能で、利便性が高いセキュリティシステムとして自動車や住宅向けに実用化を進める。
指静脈認証技術では、指の腹側から静脈を撮影する方式が一般的。だがハンドルを握ると腹側の静脈パターンがつぶれてしまうため、ハンドル組み込みには使えない。 このため指の甲側の静脈に着目し、ハンドルを握った時の甲側の静脈パターンを読み取って認証する技術を新開発した。ハンドルに光源を組み込み、透過した赤外光をドア内のカメラで撮影し、読み取り処理を行う仕組み。ハンドルの形状を工夫し、カメラの前に常に同じ指がくるようにした。 認識率などの正確なデータはまだないが、「認識率は指紋認証より高い」(同社)という。ただ、手袋をしていると読み取りは難しく、けがをしてかさぶたがある場合も静脈パターンが乱れる可能性が高いという。 同社はセキュリティ事業の基盤技術として指静脈認証の普及に力を入れており、2008年度まで3年間で1000億円の売り上げを目標に掲げている。自動車のエンジン始動用認証装置も試作しており、ドアハンドル組み込み型技術と組み合わせることで鍵が不要な自動車の実現も可能だとしている。