一年には「春夏秋冬」の四季がありますが、旧暦では3月毎に季節が変わり、「一・二・三月」は春、「四・五・六月」は夏・・。そしてそれぞれの季節に属する月には「初・中(仲)・晩」の文字をつけて季節をさらに細分するのに使いました。たとえば旧暦四月は「初夏」となります。 毎年12ないしは13回の満月があるのに、なぜか特別扱いされる中秋の名月(あるいは、仲秋の名月)。「八月十五日」と書いて「なかあき」と読む名字の方がいらっしゃるそうですが「なかあき=中秋」のことで昔から八月十五日の月を「中秋の名月」と呼んできました。
この方式に当てはめると、「八月」は秋の真ん中で「中秋」。旧暦は太陰暦ですから日付はそのとき月齢によく対応しますから、月の半ばである15日はだいたいにおいて満月になります。 古くから日本には八月十五日に秋の澄んだ空に昇る満月を「中秋の名月」と呼んで鑑賞する風習がありました。 中秋の名月日付比較 (表中日付は新暦)
西暦年 旧暦8/15 曜日 満月 差 2000 09/12 火曜 09/14 +2 2001 10/01 月曜 10/02 +1 2002 09/21 土曜 09/21 0 2003 09/11 木曜 09/11 0 2004 09/28 火曜 09/28 0 2005 09/18 日曜 09/18 0 2006 10/06 金曜 10/07 +1 2007 09/25 火曜 09/27 +2 2008 09/14 日曜 09/15 +1 2009 10/03 土曜 10/04 +1
朔と望までの実際の日数
月の軌道が円でないなどの理由から、朔から望までの日数は約13.8〜15.8日の間で変化します。
旧暦15日と満月の日付が一致しないことがあります(というか、一致しないことの方が多い)。長い目で見れば1,2の理由から実際の満月は旧暦15日に較べて約0.76日後にずれるはずですが、表に示した10年間の日付のずれを平均すると「+0.8日」となり、理論通りずれていることが確認できます。 旧暦について
中秋の名月を説明するには旧暦の説明をしなければなりません。明治6年に現在使用されている新暦が誕生するまでの間に使われていたのが旧暦ですが、旧暦では月の満ち欠けを使って、月と日付を決めています。つまり、新月がその月の1日となるのです。その後、月齢が増えて月が太っていくとともに、日付の方も2日、3日と増えていき、満月になる頃が15日となります。その後は月は細っていき、次の新月となる日に新しい月に変わります。 旧暦の8月15日 中秋の名月の話に戻りますが、中秋とは秋の真ん中のことを指します。旧暦の秋は7月、8月、9月ですから、秋の真ん中といえば8月15日になります。ところで、旧暦の15日といえば、旧暦の日の決め方から考えて、満月に近い月が見えるのは当然でしょう。満月が十五夜のお月様などと言われることからもわかります。また、新月となる日は毎年違っていますので、旧暦8月15日となる日も年によって違ってきます。 中秋と仲秋 中秋の名月ではなく仲秋の名月と書かれることがありますが、両者の意味合いは異なります。中秋が旧暦8月15日を指すのに対して、仲秋は秋の真ん中の月、つまり旧暦8月のことを指します。別の意味合いとなるので注意しましょう。本来は旧暦8月15日にお月見をするので、中秋の名月と書くのが正しいといえます。 中秋の名月は満月でない? 先に旧暦8月15日には満月に近い月が見えると書きましたが、実際には中秋の名月が必ずしも満月であるとは限りません。むしろ、満月でない年の方が多いといってもよいでしょう。これは月と地球の公転軌道の関係で、新月から満月までの日数が15日とは限らないために起こります。
とはいえ、「中秋の名月」は一種のお祭りですから「厳密に満月」である必要はないので、「旧暦八月十五日の名月」と考えて良いのでしょう。そうでないと「十五夜お月様」でなくなっちゃうしね。