自動車のF1シリーズ第16戦、ベルギー・グランプリ(GP)は10日、当地で公式予選を行い、BARホンダの佐藤琢磨は11位、ジェンソン・バトン(英国)は9位だった。
マクラーレン・メルセデス勢が1列目を独占。フアン・モントーヤ(コロンビア)が1分46秒391で2戦連続、通算13度目のポールポジション(PP)を獲得し、2位にはキミ・ライコネン(フィンランド)が続いた。今回のGPに史上最年少での年間総合王者決定の可能性があるフェルナンド・アロンソ(スペイン、ルノー)は5位だった。 トヨタ勢はヤルノ・トゥルーリ(イタリア)が4位、ラルフ・シューマッハー(ドイツ)は6位につけた。 スパ・ウエザーの気まぐれにペースをかき乱された2005年F1世界選手権第16戦ベルギーGPが、いよいよ予選の時を迎えた。舞台はアルデンヌの森に囲まれたスパ・フランコルシャン・サーキット。ドライバーの腕と度胸が試される、屈指の難コースだ。 予選当日の今日は朝から雨にも降られず、天候は徐々に回復し、午前中のフリー走行が終わる頃には美しい青空が広がった。これにはスタンドに詰め掛けた大勢のファンがほっと胸をなで下ろしたが、チームの方はといえば、昨日から持ち越されたタイヤ選択に大忙し。目まぐるしい朝を過ごした。 そんな中、フリー走行3回目にトップタイムをマークしたのはマクラーレンのキミ・ライコネン。しかし、フリー走行4回目にはルノーのフェルナンド・アロンソが最速タイムを叩き出し、初日からトップに君臨し続けたライコネンを予選直前に抑えた。だが、ライコネンも2番手に食い下がり、ひるむ様子はない。アロンソにかかったスパでの初タイトル獲得を何としても阻止しようと、必死の形相だ。 午後もサーキットは晴天に恵まれた。午前よりやや雲が多くなってきたものの、雨が降る心配はなさそうだ。気温24℃、路面温度32℃、湿度64%。午前はウエット宣言が出されていた路面コンディションもドライに一変している。予選ではタイムもさることながら、雨の予報が出ている日曜日の決勝レースをにらんだタイヤ選択にも注目が集まった。 予選アタックはナレイン・カーティケヤン(ジョーダン)を皮切りに、クリスチャン・アルバース(ミナルディ)、ロバート・ドーンボス(ミナルディ)、ティアゴ・モンテイロ(ジョーダン)らがアタックを終え、5台目には佐藤琢磨(B・A・R Honda)がコースイン。1分48秒353をマークしてトップに立った。 デビッド・クルサード(レッドブル)のアタックで始まった第2グループは、続いてコースインしたマーク・ウェバー(ウィリアムズ)が1分48秒071を記録して、琢磨を上回る。これにクリスチャン・クリエン(レッドブル)、ルーベンス・バリチェロ(フェラーリ)、ジャック・ビルヌーブ(ザウバー)という順でそれぞれアタックを行い、10台のマシンがアタックを完了。トップのウェバーを先頭に琢磨、クルサード、バリチェロ、ビルヌーブ、クリエン、ドーンボス、アルバース、モンテイロ、カーティケヤンという順位だ。 この頃になると、サーキット上空の雲が増え始め、路面温度が30℃に下降。逆に湿度は68%に上昇しているところを見ると、天候は再び傾きかけているようだ。 セッション後半はミハエル・シューマッハ(フェラーリ)の登場で幕を開けた。注目のタイムは1分47秒476のトップタイム。前戦イタリアGPから2戦目のエンジンを積んでいるバリチェロより、ニューエンジンを積んでいるシューマッハにやはり分があるようだ。 これに続いたフェリペ・マッサ(ザウバー)はシューマッハに次ぐ2番手。そして、ここでもう1台のB・A・R Honda、ジェンソン・バトンがアタックに向かい、マッサに次ぐ3番手タイムを記録した。さらに、ニック・ハイドフェルドの代役アントニオ・ピッツォニア(ウィリアムズ)とラルフ・シューマッハ(トヨタ)がアタックを開始し、ラルフが1分47秒401の最速タイムで、兄ミハエルを上回った。ちなみにラルフはここスパを得意としているドライバーの一人だ。
ここで雨が落ちてきた。雨粒が確認されたのはオー・ルージュの先のラディオンからケメルにかけて。しかし、その雨も一瞬のうちに上がり、セッションは続行した。 トヨタではラルフに続いてヤルノ・トゥルーリがコースイン。ラルフのタイムを塗り替える1分46秒596をマークしたトゥルーリはトヨタの1-2態勢を演出する。しかし、すぐさまキミ・ライコネン(マクラーレン)がこれを更新し、1分46秒440でトップを奪った。続くジャンカルロ・フィジケラ(ルノー)は2番手タイムをマークするものの、こちらは予選前にエンジン交換を行ったため、決勝では10グリッド降格が決まっている。 残るはアロンソとファン-パブロ・モントーヤ(マクラーレン)の2台だ。注目の二人のアタックは、まずアロンソが4番手。しんがりのモントーヤはライコネンのタイムを刻み、1分46秒391の驚速タイムで自身13回目のポールポジションを獲得した。また、マクラーレンはフロントローを独占。2001年のサン-マリノGP以来、4年ぶりの快挙となった。 3番手につけたフィジケラは決勝で13番グリッドに降格するため、セカンドローには4番手のトゥルーリと5番手のアロンソが並び、マクラーレン撃墜を狙う。3列目に並ぶのはラルフ、ミハエルのシューマッハ兄弟、4列目にはマッサとバトン、5列目にはウェバーと琢磨が並ぶこととなった。 決勝グリッドが出そろった今、気がかりなのは日曜日の天候だ。予報は雨。現時点で降水確率は50%と言われている。初日に波乱を呼んだスパ・ウエザーはレースにも奇想天外のドラマをもたらすのだろうか?
Pos. ドライバー コンストラクターズ Time 1 J・P・モントーヤ マクラーレン 1:46.391 2 K・ライコネン マクラーレン 1:46.440 3 G・フィジケラ ルノー 1:46.497 4 J・トゥルーリ トヨタ 1:46.596 5 F・アロンソ ルノー 1:47.760 6 R・シューマッハ トヨタ 1:47.401 7 M・シューマッハ フェラーリ 1:47.476 8 F・マッサ ザウバー 1:47.867 9 J・バトン BAR 1:47.978 10 M・ウェーバー ウィリアムズ 1:48.071 11 佐藤 琢磨 BAR 1:48.353 12 D・クルサード レッドブル 1:48.508 13 R・バリチェロ フェラーリ 1:48.550 14 J・ヴィルヌーヴ ザウバー 1:48.889 15 A・ピッツォニア ウィリアムズ 1:48.898 16 C・クリエン レッドブル 1:48.994 17 R・ドーンボス ミナルディ 1:49.779 18 C・アルバース ミナルディ 1:49.842 19 T・モンテイロ ジョーダン 1:51.498 20 N・カーティケヤン ジョーダン 1:51.675