シックス・アパートからやっと8日に、ブログツール「Movable Type」の最新バージョン「Movable Type 3.2」日本語版の公開ベータテストが開始されました。今回のバージョンでは、ブロガーを悩ますスパム対策機能が大幅に拡充されているほかに、ブログ管理機能も一新されていそうです。
USではすでに、Movable Type 3.2の公開ベータテストが7月14日に行なわれ、8月26日には3.2の正式バージョンが提供されている。日本語版の正式リリースは米国のリリースから45日以内の予定で、機能は米国とほぼ同等となる見込み。日本独自の機能などは予定されていないという。
3.2には、「Spam Fighter」という開発コード名が付けられており、スパム対策の拡充が大きなテーマの1つ。3つのモジュールから構成されるスパム対策用の新プラグイン「SpamLookup」が標準で搭載された。SpamLookupではIPアドレス、ドメイン名、キーワードなどの条件から演算処理を行ない、一定のしきい値をこえたものを「迷惑コメント・トラックバック」と自動で判断する。スパム認定されたコメントやトラックバックは一定期間の後に自動削除が可能で、誤って判断した場合も編集で復旧できるという。 スパム対策プラグインは、複数のフィルターを導入することも可能なため、IPアドレスやスパムキーワードなどのリストやセキュリティ製品を手がける会社など、サードパーティーとの提携も視野に入れているという。シックス・アパートのプロダクト・マネージャーである柳下剛利氏は、「進化するスパムに常に対応することは難しい。また、スパムの性質が国ごとに異なるという問題もある」とし、「日本の事業者とも提携に向けて話を進めている」とコメント。「ベイジアン対応のフィルターをベンダーが開発するという場合も問題なくMovable Typeに導入できる」とした。 コメント・トラックバックの管理機能も強化 コメント・トラックバックの設定画面 コメント・トラックバックは、従来まで受ける・受けないといった受信可否、受信した際のメール通知やTypeKey認証といった管理のみ可能だったが、3.2ではこの管理機能がさらに強化され、コメントの即時公開や保留のルールが設定可能になった。TypeKeyの認証を受けたコメントだけ受信するなどの設定が可能で、TypeKey以外の認証サービスとも連携が可能。また、特定のユーザーを登録しておき、そのユーザーのコメントのみ受け付けるようにも設定できる。 パーマリンクの仕様も見直され、3.2からは最大250文字の英数字でURLのエントリー部分を自由に設定できるようになった。ただし、パーマリンクが重複した際のチェック機能は持っておらず、同一のパーマリンクが生成された場合は最新のものが優先される。この点については、今後対応を検討していく予定。 3.1から対応していたページの動的生成機能も拡充。データベースはこれまで対応していたMySQL以外に加えて、日本企業から要望が多かったというPostgreSQL、SQLiteもサポートした。企業サイトなどの場合、月1回程度の更新でアクセス数もさほど高くないページでは静的生成よりも、リクエストごとにページを生成する動的生成のほうが管理がしやすいのだという。 ブログ管理機能の向上とTypePadとのテンプレート共通化 スパム対策以外のもう1つの大きな特徴が、ブログ管理機能の拡充。管理画面ではシステム全体と個々のブログの設定を区別したほか、タブナビゲーションを採用。デザイン面でもこれまでの英語向けスタイルシートによるデザインから、日本語表示に適したスタイルシートへの変更が図られている。プラグインモジュールも一元管理が可能になったほか、ブログ検索機能も複数ブログの横断検索が可能になるなど機能強化が図られた。 デザイン面ではASP型のブログサービス「TypePad」と共通のテンプレートが利用可能になった。また、CSSを切り替えてブログのデザインを変更するプラグイン「StyleCathcer」も用意される。柳下氏は「テンプレートデザインの共通化はビジネスの観点からも重要。ベンダー参加によるテンプレートのダウンロード販売なども考えている」と語った。 なお、9月12日にはTypePadの最新バージョン「TypePad 1.6」がリリースされ、こちらは携帯電話からの閲覧・編集やPodcastingへの対応も図られているが、Movable Type 3.2ではこれらの機能は実装されていない。柳下氏は「携帯電話の対応は視野に入れている」としたものの、具体的な対応予定は現時点で未定とした。