2005年FIA F1世界選手権シリーズ第15戦イタリアGPはいよいよ決勝日を迎えた。決勝レース前の気温は28℃、路面温度は45℃、空は晴れわたってドライコンディションとなっている。
チームメイトのキミ ライコネンが10グリッド降格ペナルティを受けたため、代わってポールシッターとなったファン パブロ モントーヤを先頭に、20台のマシンが現地時間午後2時、アウトドローモ ナツィオナーレ ディ モンツァにおいてフォーメーションラップへとスタートしていく。全車無事にグリッドへと戻ってくる。 スタート!モントーヤがトップで1コーナーへ!フェルナンド アロンソが2番手、ジェンソン バトンが3位を維持してヤルノ トゥルーリが4位へ浮上!佐藤 琢磨は5番手でフェラーリの2台がそれに続いて1コーナーを抜けていく。後方ではデビッド クルサード、マーク ウェーバー、クリスチャン アルバース、ナレイン カーティケヤンが接触してダメージを受け、ラップ終了後にピットストップを行なう。 オープニングラップは1位モントーヤ、2位アロンソ、3位バトン、4位佐藤、5位トゥルーリ、6位ルーベンス バリチェロ、7位ミハエル シューマッハ、8位ジャンカルロ フィジケラとなっている。佐藤が1周目の最終コーナーでトゥルーリをオーバーテイク、続く2周目の第1シケインでバリチェロもトゥルーリをパスしていく。第2シケインではミハエルもトゥルーリをショートカットしながらパスしていく。ライコネンは11位でオープニングラップを終えている。 ショートカットして抜いてしまったため、4周目にミハエルがトゥルーリに先行させる。どんどん順位を上げていくかと思われたライコネンだが、ストレートスピードの伸びるザウバーの97年ワールドチャンピオン、ジャック ヴィルヌーヴによって抑えこまれてしまっている。7周目、1分22秒685のファステストラップをアロンソが記録する。次のラップには1分22秒659でモントーヤがタイムを更新する。 12周目、アロンソが1分22秒376でファステストを更新してモントーヤの独走を許さない。 13周目にはミハエル シューマッハが上位陣では最初に1回目のピットストップを行ない、9.8秒でコースへと戻っていく。 14周目、モントーヤが1分21秒988のファステストラップを更新する。ミハエルの次のラップにはバリチェロもピットに入り、9.2秒でコースに戻る。同じラップでライコネンの行く手を阻んでいたヴィルヌーヴが最初のストップを行なう。 15周目、モントーヤが1分21秒828でさらにタイムを更新する。16周目には4位走行中だった佐藤 琢磨がピットストップを行ない、8.5秒でコースへと戻る。次のラップにはバトンも最初のピットストップを10.3秒で終える。ところが、その直後に佐藤が2度目のストップを強いられる。今回も8.5秒で作業を終えてコースへと戻る。佐藤は16位まで後退してしまう。 19周目、2位を走行していたアロンソが最初のピットストップを行ない、11.0秒でラルフ シューマッハとライコネンの真ん中に割ってはいる!前に出ないと苦しいライコネンは果敢にアロンソを攻めるが、アロンソもしっかりとブロックしていく。次のラップにはモントーヤとトゥルーリも最初のストップを終える。モントーヤはまだストップを行なっていないフィジケラの後ろに戻る。 第1シケインでライコネンがアウトからアロンソをオーバーテイクするが、そのまま2台ともにオーバーランしてしまうが、21周目の第2シケインにおいてライコネンがアロンソをオーバーテイクする!まだストップを行なっていなかったフィジケラも最初のストップへ。 22周目、3位まで順位を上げていたトヨタのラルフが最初のストップを行なう。 23周目、前が開けたライコネンは1分21秒725のファステストラップで飛ばしていく。ウィリアムズはアントニオ ピッツォニアが最初のストップへ。次のラップにもライコネンはさらに1分21秒629のファステストを記録する。 25周目、ようやくライコネンが最初のピットストップへ。11.5秒の作業時間でフィジケラ、トゥルーリの後ろでコースへと戻る。これでライコネンは1ストップ作戦の可能性が大きくなってきた。 すべてのドライバーが1回目のストップを終えた時点でのオーダーは、1位モントーヤ、2位アロンソ(+9.3秒)、3位フィジケラ(+25.5秒)、4位トゥルーリ(+28.6秒)、5位ライコネン(+32.7秒)、6位バトン(+38.6秒)、7位ラルフ シューマッハ(+40.5秒)、8位バリチェロ(+42.3秒)、9位ミハエル シューマッハ(+42.7秒)となっている。 28周目、ライコネンの左リアタイヤに異変発生!すでにコントロールが困難な状態となっており、ライコネンのペースが大きく落ちてしまう。マクラーレンピットは受け入れ態勢!ライコネンはラップの終わりに緊急ピットストップ。左のリアタイヤだけを交換し、5.0秒で作業を終えて再び11位のヴィルヌーヴの後ろでコースに戻る。 ミナルディのクリスチャン アルバースに対してブルーフラッグ無視によるドライブスルーペナルティが出されている。 31周目、ライコネンがヴィルヌーヴをパスしていく。 残り18周、バトンが最後のピットストップを完了している。次のラップにはミハエル シューマッハも最後のストップを7.6秒で完了している。その次のラップにはチームメイトのバリチェロもピットストップを行ない、6.9秒でバトンとミハエルの前でコースに戻ることに成功する。 残り14周、2位を走行していたアロンソが9.8秒で最後のストップを完了してコースへと戻る。次のラップには1位のモントーヤ、3位のフィジケラ、4位のトゥルーリも最後のストップを無事に終える。 トゥルーリの次のラップにはラルフ シューマッハも最後のストップを行ない、5.7秒でコースへと戻る。 残り11周、バトンを引き離し始めていたバリチェロが不可解なピットストップへ。左リアタイヤを交換して出ていく。その直後に同時ピットストップとなった佐藤 琢磨とマーク ウェーバーが並んでピットアウトへ!ウェーバーが前で1コーナーへと進入する。 コース上ではライコネンがトゥルーリをオーバーテイクし4位まで順位を上げている。ライコネンとルノーのフィジケラとの差は約3秒となっている。ペース的にはライコネンの方が完全に速いものとなっている。 45周目のロッジアの出口でライコネンが痛恨のスピン!再びトゥルーリの先行を許してしまう。 残り7周のパラボリカにおいて再びトゥルーリをパス、約9秒前を行くフィジケラをライコネンは追いかけていく。 残り3周となっているが、トップを走行中のモントーヤの左リアタイヤにもライコネンと似たようなトラブルが見受けられる。モントーヤはペースを落としながら何とか耐えていく。 残り2周、1分21秒504のファステストラップをライコネンが記録する。 ファイナルラップ。モントーヤとアロンソの差は3.5秒、3位フィジケラと4位ライコネンの差は3.0秒となっている。 チェッカー!ファン パブロ モントーヤが耐え切って今シーズン2勝目!2番手にはポイントリーダーのフェルナンド アロンソが入った。3位は地元のジャンカルロ フィジケラ、以下は4位キミ ライコネン、5位ヤルノ トゥルーリ、6位ラルフ シューマッハ、7位アントニオ ピッツォニア、8位ジェンソン バトン、9位フェリペ マッサ、10位ミハエル シューマッハとなっている。完走20台。
Pos. ドライバー コンストラクターズ Time Points 1 J・P・モントーヤ マクラーレン 1:14:28.659 10 2 F・アロンソ ルノー + 2.479 8 3 G・フィジケラ ルノー + 17.975 6 4 K・ライコネン マクラーレン + 22.775 5 5 J・トゥルーリ トヨタ + 33.786 4 6 R・シューマッハ トヨタ + 43.925 3 7 A・ピッツォニア ウィリアムズ + 44.643 2 8 J・バトン BAR + 1:03.635 1 9 F・マッサ ザウバー + 1:15.413 0 10 M・シューマッハ フェラーリ + 1:36.000 0 11 J・ヴィルヌーヴ ザウバー + 1 laps 0 12 R・バリチェロ フェラーリ + 1 laps 0 13 C・クリエン レッドブル + 1 laps 0 14 M・ウェーバー ウィリアムズ + 1 laps 0 15 D・クルサード レッドブル + 1 laps 0 16 佐藤 琢磨 BAR + 1 laps 0 17 T・モンテイロ ジョーダン + 2 laps 0 18 R・ドーンボス ミナルディ + 2 laps 0 19 C・アルバース ミナルディ + 2 laps 0 20 N・カーティケヤン ジョーダン + 3 laps 0
4位スタートの日本の佐藤琢磨(28)=BARホンダ=はピット作業でのミスもあり、結局1周遅れの16位に終わった。佐藤の同僚、ジェンソン・バトン(英国)も8位入賞が精いっぱい。レースは20台全車完走という珍しい結末で、ファンパブロ・モントーヤ(コロンビア、マクラーレン・メルセデス)がフェルナンド・アロンソ(スペイン、ルノー)の追撃をしのぎ、ポール・トゥ・ウインで今季2勝目、通算6勝目。トヨタ勢はダブル入賞。ミハエル・シューマッハ(ドイツ、フェラーリ)は総合6連覇の可能性が消えた。 想定外…燃料超満タン 佐藤にとっては泣くに泣けないピットの判断ミスだった。1回目の給油を終えた2周後、突然「燃料が入っていないかも知れない」と呼び戻され再給油。ところが燃料はたっぷり入っており、結局想定外の超満タンになってしまった。重すぎるマシンは走らず、曲がらず、止まらずのないないづくし。入賞のチャンスをみすみす失った。「何と言ったらいいのか…。マシンが重くて重くてタイヤを痛めまくった。最後はふらふらでした」とため息をつくばかりだった。 ◆“怪挙”全車完走 今回は出場した20台が全車完走という珍しいレースとなった。今年の米国GPで、ミシュラン勢14台がタイヤトラブルからスタート前に集団リタイア、ブリヂストン勢6台だけの出走で全車が完走したが、それを除けば1961年第2戦オランダ(ザンドフールト)で出走15台(2台は決勝に出走せず)すべて完走というケースがあるぐらい。2レース1エンジン、タイヤ交換禁止のルールや予選のシステムの関係でどの車もマシンをいたわって完走を目指す傾向はあるが、“快挙”でもあり“怪挙”でもある出来事だった。
2005年F1第16戦ベルギーGPは、来週末の9月11日にスパ フランコルシャンサーキットにおいて決勝レースが行なわれる。