郵便貯金の金額別の預け入れ状況が31日、初めて明らかになった。「900万円超〜1000万円以下」を預ける“高額”貯金者は442万人にのぼり、預入金額の合計は205兆円の郵貯残高の5分の1を占めている。 「1人あたり1000万円」の限度額を超える違法な貯金者も198万人にのぼり、国民の身近な少額貯蓄の手段という建前とはかけ離れた実態が浮き彫りになった。
判明したのは7月中旬時点の貯金者と残高についての日本郵政公社の資料。複数の口座は原則として合算し、貯金者1人あたりの残高分布などをまとめている。貯金者の総数は計1億2511万人と、日本の人口とほぼ同じだ。すでに死亡したのに口座がそのままになっていたり、結婚しても口座名義を旧姓のままにしている人などがいるためと見られる。 このうち67%にあたる8399万人が100万円以下の預け入れで、8割は300万円以下の貯金者だった。すべての貯金者の平均預入金額は164万円。ただ、日本銀行がまとめた今年3月末の国内の民間銀行の個人預金者数は「300万円未満」が全体の約97%を占めており、高額貯金者の割合は郵貯の方が民間銀行より高いともいえる。 700万円超を預けている貯金者は1076万人に達し、貯金額の合計は全体の半分近い99兆円にのぼった。このうち限度額を超す違法貯金者の総貯金額は21兆7572億円で、超過分だけで約1兆9500億円に達していた。5月には最大230万人の違反者がいたことが発覚し、郵政公社は預入額引き下げの要請をしているが、なお多くの人が違法な預け入れを放置している。 一方、残高の総額は4大銀行グループの総額に匹敵する額を保っている。衆院選で民主党は、郵貯の規模縮小を主張し、「限度額を1人あたり1000万円から、段階的に700万円、500万円に引き下げる」としている。しかし、計算上は仮に700万円に引き下げても約24兆円、500万円に引き下げても約50兆円が減るだけで、残高は大きく縮小しないことになる。