なんと!寿命を延ばす作用があるらしいたんぱく質を、黒尾誠・米テキサス大助教授と東京大、大阪大などのチームがマウス実験で見つけたそうです。これは究極の「永遠の命」となるのでしょうか? こうした物質が、哺乳(ほにゅう)類で見つかったのは初めて。このたんぱく質は人間でもつくられており、将来、薬でこのたんぱく質を増やすなどして、寿命が延ばせるようになるかも知れない。米科学誌サイエンスの電子版に26日、論文が掲載される。
この物質は、黒尾さんらが8年前に見つけた遺伝子「クロトー」がつくるたんぱく質。遺伝子操作でクロトーたんぱく質が通常のマウスの2〜2.5倍できるマウスを作ったところ、通常のマウスの寿命が平均約700日なのに対して、平均で2〜3割長生きし、3歳に達したものも出た。 このたんぱく質は脳や腎臓でつくられる。一部が血液で体中に運ばれ、インスリンの作用を抑制するように働いていた。通常のマウスにこのたんぱく質を注射すると、血液中の糖を体の組織に取り込むインスリンの働きを打ち消し、血糖値が上がった。インスリンの働きを抑えすぎると糖尿病になるが、適度に抑えることで寿命を延ばすとチームは見ている。 クロトー遺伝子が壊れたマウスは、動脈硬化や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、肺気腫などで短命なことが知られていた。黒尾さんはこのたんぱく質がホルモンとして老化を制御するとしており、「人の老化や生活習慣病の治療・診断に応用できる可能性がある」という。 これまで、哺乳類の寿命を延ばす方法としては唯一、体に取り込むカロリーの制限(食事制限)が有効なことが、多くの動物実験で確かめられており、インスリンとのかかわりを指摘する説もある。