川崎重工業が開発した対人地雷を探知・除去する車両システムが、年内にもアフガニスタンで使われる見通しとなった。同国は今も約400万個の地雷が埋まっているとされる。
地雷の探知車、除去車の開発は、日本政府のアフガニスタン復興支援策の一環として日本企業数社が参加して進められてきた。 川重は唯一、探知車と除去車を一体的に運用するシステムで参加。このうち除去車の開発が終わり、近く納入する。探知車も来年には納入できる見通しだ。人や犬に頼った従来の除去作業では、危険が高いうえに時間もかかるため、新方式の開発が求められていた。同社によると、車両で探知と除去ができるシステムは先例がないという。 システムは、まず探知車で地雷の位置を特定。その情報をもとに除去車で爆破、回収する。地雷には対戦車用の強力なものもあり、いきなり除去車を使うと破損しやすいため、探知車であらかじめ地雷の種類や場所を特定し、対人地雷にのみ除去車を使う。 従来の探知車は、鉄片などを誤って地雷と認識することも多かったが、開発が最終段階に入った川重の探知車は、六つのレーダーを駆使することで探知率が上がったという。カブール市近郊の国連不発弾処理場での実証試験では、対人地雷、対戦車地雷、不発弾ともすべて探知した。 除去車は、1時間に最大3150平方メートルの除去作業ができる。除去率は90%程度で、作業効率は人手と比べて数百倍に上がる。 システムは、探知車と除去車1台ずつのセットで1億3千万円から。年5〜15セットの販売を目指して各国政府に営業活動を始めたところ、すでに数件の引き合いがあるという。 爆薬探知する地雷センサー開発 阪大、名大、京大など 科学技術振興機構は10日、地雷の爆薬そのものを探知する3種類の地雷探知センサーの開発に成功したと発表した。金属探知機や地中レーダーと違い、空き缶や石などと地雷を明確に区別でき、効率的な地雷除去に貢献できるという。大阪大、名古屋大、京都大を中心とする研究チームがそれぞれ開発、9月7日に名大で公開実験がある。 3種類のセンサーは、いずれも爆薬に含まれている窒素を検知する。阪大のセンサーは窒素が特定の電磁波に共鳴して電磁波を発信する性質を利用した。共鳴電磁波を測って地雷を探知する。 名大と京大のセンサーは、中性子を当てると窒素からガンマ線が放出される性質を利用する。同機構によると、窒素を検知する地雷センサーは米国などでも開発されているが軍事用で技術が非公開のため、人道目的で使えるように技術開発を進めた。テロ対策や警備にも応用が考えられるという。 同機構は12月に開く成果報告会に海外からも招待し、製品化や地雷が埋設されている国への技術提供につなげる計画だ。