月面兎兵器「月城ミーナ」。類は月への居住計画を進めていた。40年の歳月をかけて完成した月基地の存在は人類の栄達を如実に物語っていた。秋分の日を間近に控えたある日。
あの「電車男」のうさぎキャラがアニメに!フジ系で1月放送
昨夏放送され、伊東美咲(29)の主演で高視聴率を記録したフジテレビ系「電車男」に登場するアニメキャラクターが、同局でテレビアニメ化されることが21日、分かった。来年1月にスタートする「月面兎兵器ミーナ」で、ドラマのオープニングに登場したり、劇中で伊藤淳史(22)扮するヲタク青年の部屋にフィギュアとして飾られた、あのうさぎアンドロイドだ。ヲタク視聴者の熱い要望にこたえ、アニメ化が実現した。
月基地の「お披露目」を世界同時中継するというアナウンスが各地に広まった。なんでもとっておきの「発表」があるらしい。人類は放送が予定されている「秋分の日」を指折り待ち続けた。 そして運命の日。人類100億世帯のお茶の間に映ったのは、見慣れぬシルエットの群集だった。 プロジェクト「国民の用心棒」の主幹を成す存在だという「ミーナシリーズ」。月のクレーターの数だけ量産された自衛型アンドロイドである。 人々は驚愕した。彼女たちは、まるでロボットとは思えないほど人間にそっくりだったのだ。 次々に登場してはペコリとお辞儀をするアンドロイドたち。ステージにはすでに黒山ができていた。 不意に一体のアンドロイドが動き出した。彼女は隊列から離れ前に躍り出ると、カメラに向かってワンウインクをする。続いて数千体のアンドロイドが軒を連ねる後方を振り向いて……。 いっせーのせっ! 「みなさ〜ん!!初めましてー!! み・い・な、でーす!!」 数千人のミーナが一斉に声を合わせた。 うぉぉぉぉぉ!!!! 湧き上がる喝采の嵐。そんな様子を満足気に眺める先ほどの少女。 彼女の名は「月城ミーナ」。プロジェクト後期に開発された新人ミーナである。
今を遡ること37年。プロジェクト「そうだ、月に行こう」はその発動から3年目を迎えていた。人類は月面でも生活ができるという画期的な発明「ムーンデバイス」を開発し、ようやく銀世界への橋頭堡を確保するに至った。しかし、急激な進化の歴史はどうしても大きな反動を生んでしまう。変化についていけない人間は、その居場所を失い、社会的モラルを失い、ひいては「徳」の心さえも失ってしまった。 最強最悪の不良組織「コードブレイカーズ」が現れたのはちょうどそんな時であった。 あらゆる社会のコード(決まり事)に疲れ果てた人々が集まったこの組織は主に、不良化した中年サラリーマンで構成される「名刺族」、不良化したオタクで構成される「電子族」、不良化した主婦で構成される「主婦族」に大別され、悪行の限りを尽くしていた。 事態を重く見た連合政府は既存のプロジェクトと並行して、ただちに「国民の用心棒」プロジェクトを発動。後に「始まりの12体」と呼ばれることになる最古の「ミーナシリーズ」はこうして開発されたのだった。 そして現在。 およそ半世紀の歳月を経て、プロジェクト「国民の用心棒」とプロジェクト「そうだ、月に行こう」は共に無事成功を収めた。旧ミーナシリーズの2体を頂点にした「軍団ミーナ」の誕生である。
そして現在。
およそ半世紀の歳月を経て、プロジェクト「国民の用心棒」とプロジェクト「そうだ、月に行こう」は共に無事成功を収めた。旧ミーナシリーズの2体を頂点にした「軍団ミーナ」の誕生である。
日本に本部を置く「軍団ミーナ」総司令官、白鳥ミーナは「始まりの12体」のうちの一体である。同じく「始まりの12体」である参謀、秋山ミーナと共に「軍団ミーナ」の編成作業に追われていた。 数千の数を誇るミーナたちを編成するのは骨が折れる。彼女たちにそれぞれ性格や能力を差別化したAIを組み込んだのがこの2人でなかったら、作業はもっと難航していたはずだ。 しかし、2人には頭痛のタネがあった。お互い顔を見合わせてはため息をついたものだ。 「月城ミーナ……、この子は問題ね」 「はい、身体能力、状況分析能力、発想、どれをとっても部隊編成の基準を大きく下回っています。このままでは、彼女には所属部隊が無くなってしまいますが…」 そうなのだ。悲しいかな、われらが月城ミーナは落ちこぼれだったのだ! 早速司令室に呼ばれる月城ミーナ。なんせ相手は最古のミーナの一人である。彼女の発汗センサーは既にリミットを越えていた。 しかし、さすがはわれらが主人公。やってくれることが他とは一味違う。 司令官を見るなり開口一番「あのー、司令官って彼氏いるんですぁ〜? けっこうみんなうわさしてますよ。早くしないと貰い手がなっ……」 秋山ミーナが口を塞がなかったら、その場は地獄絵図になっていたかもしれない。 そう、「始まりの12体」の中でも最古参の部類に入る白鳥は、御歳33歳。最近、チタニックスキンの具合が気になる独身ミーナなのである。 「み、ミーナは人間じゃないのよ!? 恋愛している暇はないわ。だいたい自衛型アンドロイドに適合する対象がいるとでも思うの?今回開発されたミーナはみんな女性タイプのものなんだし、それに………ブツブツ」 がんばれ!白鳥司令官!!あなたの人生経験がセカイを救う!!
結局、月城ミーナはどこの部隊にも採用されなかった。これは我々にとって由々しき事態である!! しかしご安心。秋山参謀はちゃんと考えていてくれた! 「それでは本日のミーティングを終わります。各自……あっ、そうでした。ひとつ皆さんにお知らせがあります。来週、火星チタニウム発掘場守備隊から一人、補充兵がこちらに回されることになりました。皆さんもよくご存知の大月ミーナさんです」 秋山参謀のこの発言はミーナ達に大きな驚きを与えた。 大月ミーナといえば「月面兎学園用心棒養成所」時代、教官ミーナに食って掛かりそのまま乱闘、終いには貴重な「始まりの12体」の一人である、かの教官ミーナをスクラップにしてしまった過去を持っている。正真正銘札付きの問題児ミーナである。 しかし、月城ミーナにとって、とどめになったのは秋山参謀のこの一言だった。 「ちなみに大月さんには、月城さんとペアを組んでもらい、これからは『ミーナ遊撃隊』として各方面で活躍してもらいます。月城さん、精進するのですよ」 「ええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」 寝耳に水とはよく言った。思わず月城ミーナはフリーズしてしまった。 一方火星では、今まさにシャトルが発射されようとしていた。 「遊撃隊ねえ。へえ、面白そうじゃん」 ボキボキ指を鳴らしながら、大月ミーナは不敵な笑みを浮かべていた。
大月ミーナは大いに怒っていた。新設された「ミーナ遊撃隊」の当面の任務が「色町の生活指導」だということに、どうやら納得がいかないらしい。現場に向かう護送トラックの中……。 「だあああ!これ以上こんな下らん冗談に付き合っていられるか!!」 「でも、せっかくもらったお仕事ですし……」 「テメー、まずそのキャラを改めやがれ!オラオラ」 「な、何するんですかー。AIはやめてくださいー」 30分後……。 新宿の現場は想像以上の混沌ぶりだった。 「おい、誰かこの状況をなんとなくでいいから説明してくれ」 「大月さん、誰かって言っても私しかいないですよ。えーと、そうですね、あそこの『酒に酔った勢いでネチネチネチネチお説教』している集団は通称『名刺族』です。あ、あと向こうには『電子族』もいますね。あそこのATM周辺で明らかに怪しい動きをしている集団です。ちなみに最近彼らは『スキミング』なる新技を開発したとかしないとか」 「ああ。もういい、分かった。ちぃ、頭がおかしくなりそうだぜ。よーし月城、お前は裏手に回れ。先ずはあそこのくそオタク共から片付けてやる」 しかし歌舞伎町の夜はそんなに甘くない。 「大月さん、3時の方向から新手です!あの怪しい手つきから見て「主婦族」に間違いありません。ああ!今大根を万引きしました。ああ、今度は長ネギまで!!大月さん、確保です!!」 「アルハラにスキミング、そして今度は万引きか……」 「……大月さん?」 「オレは夜回り先生かーっ!!チクしょー(泣)!!オラオラオラー!!!!」 大月ミーナの大型キャノンが唸りをあげる。月城ミーナも訳が分からずそれに倣う。破壊されつくす施設、施設、施設。かくして新宿一の色街「歌舞伎町」はその長い歴史に幕を下ろした。 皆さん、ミーナ遊撃隊にはくれぐれもご注意を……。
新宿の現場は想像以上の混沌ぶりだった。 「おい、誰かこの状況をなんとなくでいいから説明してくれ」 「大月さん、誰かって言っても私しかいないですよ。えーと、そうですね、あそこの『酒に酔った勢いでネチネチネチネチお説教』している集団は通称『名刺族』です。あ、あと向こうには『電子族』もいますね。あそこのATM周辺で明らかに怪しい動きをしている集団です。ちなみに最近彼らは『スキミング』なる新技を開発したとかしないとか」 「ああ。もういい、分かった。ちぃ、頭がおかしくなりそうだぜ。よーし月城、お前は裏手に回れ。先ずはあそこのくそオタク共から片付けてやる」 しかし歌舞伎町の夜はそんなに甘くない。 「大月さん、3時の方向から新手です!あの怪しい手つきから見て「主婦族」に間違いありません。ああ!今大根を万引きしました。ああ、今度は長ネギまで!!大月さん、確保です!!」 「アルハラにスキミング、そして今度は万引きか……」 「……大月さん?」 「オレは夜回り先生かーっ!!チクしょー(泣)!!オラオラオラー!!!!」 大月ミーナの大型キャノンが唸りをあげる。月城ミーナも訳が分からずそれに倣う。破壊されつくす施設、施設、施設。かくして新宿一の色街「歌舞伎町」はその長い歴史に幕を下ろした。
皆さん、ミーナ遊撃隊にはくれぐれもご注意を……。
VOL.6 「人類の夢・月移住計画、始まる」
いよいよ人類の月移住計画、プロジェクト「そうだ、月へ行こう」が始まった。「国民の用心棒」である軍団ミーナは、部隊ごとに振り分けられた任務をこなしていた。 『ミーナ遊撃隊』の月城ミーナと大月ミーナは、民間人の運送係を任されていた。支給された運送係専用の制服で任務をこなす彼女たちは、さながらバスガイドさんであった。 「戦闘用アンドロイドが、どうしてバスガイドなんかしなくちゃいけねぇーんだ!」 大月は激怒であったが、しかし月城はまんざらでもなかった。 「右手に見えますのが、第二東京タワーでぇーす」 月城の案内に、乗客たちは沸いた。というのも、人類史上初となる月移住者は、福島で農業を営む農家のみなさんだったのだ。みなさん、まるっきり観光気分である。 そのとき、予定の走行ルート上で道路工事が行われていた。警備員の誘導に従って進むと、なんとそこは袋小路! 「ふふふ、罠にかかったな!」 バスは、すでにコードブレイカーズの名刺族軍団に取り囲まれていた!彼らは、リストラ後に道路工事などのバイトをこなしていたので、この手の偽装はお手の物だったのだ! 名刺族の必殺技「リストラクチャリング」で、農家のみなさんはすっかりリストラの恐怖に怯えてしまった! 「リストラは勘弁してけろ〜、オラには幼い娘がぁ〜」 車内は、すっかりリストラ大混乱! しかし、「待ってましたぁー!」とばかりにバスガイドの制服を脱ぎ捨てて飛び出した大月の猛襲と、月城の必殺「キャロッティングフラッシュ!」によって、名刺族を見事撃退! 城と大月は、無事に人類史上初の月移住者である農家のみなさんを東京湾国際宇宙港へと送り届けることができたのであった。 そこへ、一人の男性が近づいてきた。それは、パイロットの岩波満喜であった。月城は、岩波を見た途端にAIのパルスが高鳴るのを感じた。しかしそれが一体なんなのか、アンドロイドの月城には、まだわからないのだった…。
月移住民運送係である『ミーナ遊撃隊』の月城ミーナと大月ミーナは、次なる月移住民の待つ広島へと向かった。 到着すると、町では重大な問題の協議中であった。 議題は、「伝統行事『ぶつかり祭り』のお神輿を月へ持っていくか、否か」。 それを知った大月は、決定的な一言を放った。 「月面じゃ重力が軽すぎて、思うようにぶつかれねぇーんじゃねぇ?」 激しさがウリであった『ぶつかり祭り』が月で行えないと気づいた町民たちは、急遽『ぶつかり祭り』の決行することに!急いで矢倉を組み、露店を設け、商店街をチョウチンで飾り、町はすっかりお祭りムード! 夜になり、いよいよ『ぶつかり祭り』が始まった。数台の神輿が商店街を駆け抜け、そして出くわしたところで激しくぶつかる! そのとき、見慣れぬ神輿が現れた。しかし、一台の神輿が構わずにぶつかって行った。すると、なんと不審な神輿には一ミリもぶつかることなく、空高く弾き飛ばされてしまった。 それは、コードブレイカーズの電子族軍団による『超反発神輿』であった! 「どーだ、ぶつかれまい!」 月城と大月は果敢にも立ち向かうが、反発してしまってまったく手が出せない! するとそこへ、軍団ミーナの『チーム朧』の師走ミーナ、神無月ミーナ、弥生ミーナが現れた! 諜報部隊である彼女たちは、得意のハッキングとコンピュータウィルスで超反発神輿の回路を見事破壊!電子族が怯んだところを、月城がとどめを刺し、電子族を撃退した! その後、月城たちもハッピを着て参加した地上最後の『ぶつかり祭り』は、熱気と汗の滴る内に、無事終了したのであった。
月移住民運送係の月城ミーナたちは、人々の荷造りを手伝うことも任務のうちであった。 そんな中、荷造りがまったく楽しそうではない男性がいた。彼の名前は、星野虎介。プロ野球チーム『大阪ベンガルトラーズ』の一員であり、屈指の名バッターである。星野は、月面では重力の関係上野球ができないと知り、愕然としていた。 大の野球好きである大月は、本物の星野を前にしてAIがショート寸前に! 「ここここ、このサインにボールしてください!」 …それから数時間後、東京湾国際宇宙港では、出発前のレクチャーが行われていた。その中に星野家族もいる。野球選手として有名人の星野は、少年にサインをねだられていたが、「もう野球選手じゃないから」と、断っていた。 そんな星野に寂しさを覚えた大月は、反重力エアーバイクに星野を乗せて爆走した。 向かった先は、野球場。ちょうどトラーズの試合が行われている。九回裏二死満塁、一発出ればサヨナラのチャンス。次の打者は、現トラーズの四番、外国人助っ人のホマーだ。 しかしそのとき、酔っ払ったオヤジたちが、客席のあちらこちらから同時に飛び出してきた。係員を擦り抜けてホームベースに駆け寄ったオヤジは、ホマーに向かって酒臭い息を吹きかけた。ホマーは気を失って倒れてしまった。 彼らは名刺族軍団だった!秘儀『新橋ガード下酔拳』で、飛び掛る係員を次々倒していく! そこへ、星野を連れた大月と月城が駆け付けた!彼女たちの活躍により、今回も見事に名刺族を蹴散らした! そして、ベンチへと駆け込んだ星野に、監督は代打を指名した。 星野が振ったバットは、ボールに当ると共に砕けた。しかし、ボールは高く高く舞い上がり、そして球場の遥か彼方へと消えた。場外満塁ホームランであった。 歓声と熱気の中、星野はホームインした。それが、野球選手・星野虎介最後のホームランであった。
次の月移住に選ばれた地域は、温泉街として有名な熱海! しかし、代々守り継いで来た熱海を放棄するわけにはいかないと、地元住民たちは月移住の権利を辞退しようとしていた。 そんなとき、「熱海温泉観光協会」の会長・湯水湧夫(45)は、大胆にも熱海を丸ごと月へ移動してしまおうと発案した。これが世に言う『熱海月面移動計画』である! …月移住民運送係の月城ミーナと大月ミーナは、一足早く熱海入りした。 「白鳥も秋山も、アタシらが仕事熱心になったと思ってるぜ。早めに来て温泉に入ろうっていうだけなのにな」 「私、温泉初めてなんです!装備もキチンと用意しました!」 と、月城はスキューバ用品一式を取り出した…。 しかし、熱海はどこもかしこも閉館中!温泉に入れないとわかった大月は激怒し、温泉宿の主人たちが集まっている集会場へと殴り込んだ! 「コぉラぁー!アタシらが休む温泉が休んでるって、どーゆーことじゃー!」 そこで『熱海月面移動計画』を知った大月は、「そんなの、簡単じゃねぇーか」と、水素系バリアと反重力装置を用いた移動方法を提案した。火星のチタニウム発掘場にいた大月は、この手の作業のエキスパートだったのだ。 大月のアイディアを採用した湯水は、大月を計画の現場主任に任命した。月城も強制的に参加することになり、作業着を着て、おじさんたちと穴掘りに従事していた。 穴掘りが終わりを目前に控えた、まさにそのとき!突然、穴の壁を突き破って、スーツの一団・名刺族が現れた!熱海の計画を知った彼らは、熱海の湯を盗もうと、名刺族の特技『地道にコツコツと作業戦法』で、コツコツと掘り進んできたのだ! しかし今回もまた、月城の活躍により、彼らの妨害を阻止!熱海の湯は守られたのだった。 果たして、熱海を月面へ移動することはできるのだろうか!?
『熱海月面移動計画』の現場主任・大月ミーナは、掘った穴に反重力装置を埋め込み、発動させた。だが、熱海は微動だにしない! まさか、大月の作戦は大失敗…!? が、しかし!大月が、水素系バリアで熱海全体を包むと、バリアに覆われることで大地から切り離された熱海は、ゆっくりと浮上し始めたのである! 「う、浮いている、熱海が、熱海が浮いているっ!!」 大月の作戦は大成功だったのだ!熱海は、ゆっくりと月を目指して上昇し始めた!しかし、熱海の進路上にエアーカーの集団が現れ、道を塞いだ。集団は、「全日本温泉機会均等法協会・婦人部」のみなさんであった。 「熱海は、月面での温泉事業を独占しようとしている!今すぐに計画を中止しなさい!」 熱海に着陸した婦人部の団体は、そう叫びながら移動計画の本部へとなだれ込んだ!熱海の青年男子も止めることができない婦人部の正体は、なんとコードブレイカーズの主婦族だった!必殺『バーゲンセール突入タックル』で本部へ突っ込んできた主婦族は、機関部を死守する人々を次々となぎ倒し、装置を破壊し始めた! そこへ、軍団ミーナの先鋭部隊『チーム天月』の霜月ミーナたちが参上!月城たちと共に攻防を繰り広げ、主婦族の軍勢を見事に撃退!浮遊する熱海を守り抜いたのであった! しかし、敵の攻撃によって反重力装置の幾つかが破壊され、熱海は墜落しかかっていた。 このままでは、熱海が太平洋の真ん中に落ちてしまう!すると、月城を初めとするミーナたちは、熱海の後方へと回り込み、全エネルギーを噴出して、熱海を押し上げ始めた!再び月へ向けて上昇し始めた熱海は、ミーナたちの力によって、無事に大気圏を越えて宇宙へと飛び出し、そして月へと向かったのであった。
『軍団ミーナ・勝どき橋寮』の寮長である玉虫ミーナは、休日でもいつも通りに早起きをして、緑茶を飲みながら新聞に目を通していた。 そのとき!爆発するような激しい物音が! 「敵襲!?」玉虫は咄嗟に身構えたが、しかし階段を駆け下りてきたのは、月城ミーナであった。休日返上で出勤らしい。なにやら慌てていた月城は、飛び立つ際に茶封筒を落として行った。寮長である玉虫は、仕方なくそれを届けることに。 初めて休日の『軍団ミーナ本部』を訪ねた玉虫は、GPSで月城の居場所を調べようと、司令部へ向かった。誰もいないだろうと思っていると、司令部には総司令官の白鳥がおり、エステ用ハンダゴテで目尻のシワを伸ばしていた。 「…総司令官、やっぱり気にしていらっしゃったのですね」玉虫は、静かにその場を後にした…。 予備室のコンピュータを使おうと地下へ降りていくと、普段は誰もいない場所なのに、司令部参謀の秋山の姿が。直感的に『極秘事項だ』と悟った玉虫は、気づかれぬように去ろうとしたのだが、コードにつまずいて転んでしまった。 その瞬間、銃口が玉虫に向けられた。それは、いつも沈着冷静な秋山とは思えぬ褪せりぶりであった。玉虫は、「間違えましたっ!」と、慌てて逃げ出した。…秋山が使っていたパソコンの画面には、『終末を迎える地球から月へ、人類の保存のために…』という文字が映し出されていた…。 その後玉虫は、訓練用プールで体を鍛えていた大月や、新しいコンピュータウィルスの研究を趣味でしていた『チーム朧』の神無月らに聞き込みすることで、ようやく月城を発見。事務室のパソコンを猛烈な勢いで打ち込んでいた月城は、寮に忘れてきてしまった、白鳥総司令官へ提出する資料を、もう一度ゼロから打ち直していたのだ。 玉虫は、月城の完璧な記憶力に驚き、資料を渡し損ねてしまった。
月移住民に選ばれたある男性を探して、山奥へと分け入っていた月城と大月は、朽ちたペンションの中で、ようやく目当ての人物、「21世紀を代表する詩人」にも選ばれた世界的詩人・山川俊次朗(75)を発見した。 月移住の決定した山川の「地球で詠む最後の詩」を、世界中のファンが注目していた。そのプレッシャーに打ち勝てず、山川は人気のない山奥へと逃げたのだった。 月城たちの説得に応じない山川は、隙をついてまた逃走してしまった! もう出発まで時間がない。ブチ切れた大月は、無理矢理にでも山川を連れて行こうとするが、山川はナイフを取り出し、「それ以上近づいたら自殺する!」とわめき始めた。 そのとき、「逃避行に協力します!」と、山川のファンだと名乗る一団が現れた。 山川は、「それは有り難い!」と、月城たちを振り切りファンの方へ。が、しかし!なんと、ファンの正体は名刺族軍団であった!彼らは、山川を誘拐することで、月移住計画を阻止しようと企てていたのだ!正体がわかって逃げだした山川へ、名刺族は必殺『窓際の憂鬱』を放った! しかし、大月が体を張って阻止し、山川は一命を取り留めた。そして怒った月城の猛攻撃で、名刺族を見事に撃退! 山川は、戦う大月、月城の姿に見惚れていた。アンドロイドに助けられた。そのことは、山川にとって、とても衝撃的な出来事であった…。 名刺族を撃退した後、負傷した大月は、反重力エアーバイクの後部に山川を乗せた。しかし、大月は宇宙港とは反対の方角へと向かった。大月は、地球の美しい風景を、山川に見せようと思ったのだ。 短時間の内に朝の雲海、夕暮れの草原、夜の蛍…。 地球中を見て回った山川は、ギリギリで式典に到着。 そして、その式典で述べた山川の「地球で詠む最後の詩」は、世界中から絶賛の拍手を浴びたのであった。
山川は、「それは有り難い!」と、月城たちを振り切りファンの方へ。が、しかし!なんと、ファンの正体は名刺族軍団であった!彼らは、山川を誘拐することで、月移住計画を阻止しようと企てていたのだ!正体がわかって逃げだした山川へ、名刺族は必殺『窓際の憂鬱』を放った! しかし、大月が体を張って阻止し、山川は一命を取り留めた。そして怒った月城の猛攻撃で、名刺族を見事に撃退! 山川は、戦う大月、月城の姿に見惚れていた。アンドロイドに助けられた。そのことは、山川にとって、とても衝撃的な出来事であった…。 名刺族を撃退した後、負傷した大月は、反重力エアーバイクの後部に山川を乗せた。しかし、大月は宇宙港とは反対の方角へと向かった。大月は、地球の美しい風景を、山川に見せようと思ったのだ。 短時間の内に朝の雲海、夕暮れの草原、夜の蛍…。 地球中を見て回った山川は、ギリギリで式典に到着。 そして、その式典で述べた山川の「地球で詠む最後の詩」は、世界中から絶賛の拍手を浴びたのであった。
『月移住民運送係』の月城ミーナたちは、秋田の農村で移住の手伝いをしていた。 今回は特に問題も起こらず、準備は着々と進んでいたのであるが、出発直前になって、1人の少年・畑正義(8)がわめき出した。聞けば、「月へ連れて行く予定だった犬の源五郎が逃げてしまった」という。 「源五郎がいないなら、オラいがねぇ!」と、正義は譲らない。そこで月城は、「必ず探し出す」と正義に約束し、運送を大月に任せて、現地に残った。 そしてバスを見送って振り返ると、なんとそこには、バスに乗ったはずの正義が! 「ねぇちゃん、頼りがいがねぇバッテン、オラも残って探すことにするダス」 バスを追っている時間はないので、月城は正義と共に源五郎を探すことになった。 月城は、探し物のエキスパート、『チーム朧』の弥生ミーナを呼んだ。 まもなく、弥生は愛犬のジャンボプードル「コサジ」と共に到着。 警視庁科学捜査班を上回る弥生の鑑識技術と、見た目以上に鋭いコサジの嗅覚とで、源五郎捜索は順調に進んでいた。 そのとき、一行は「月移住民宅への空き巣犯」の犯行現場を目撃! 正義が飛び出し、それを追って月城たちも空き巣犯のもとへ駆け寄ると、その正体は主婦族だった! ばれてしまった主婦族は、必殺『ママチャリアタック』を放った! 積載量を越える荷物を積んだママチャリで突っ込んでくる、主婦ならではの凶悪な技である!しかし、月城の必殺『キャロッティー・フラッシュ』で見事に撃破、主婦族を蹴散らした! …弥生とコサジの協力のもと、源五郎を見つけることができた。しかし、源五郎の傍にはメス犬と五匹の子犬が。月へは、各家庭ペット一匹のみという規則になっている。 月城は「子犬を一匹連れて行ったら?」と提案するが、正義は「家族を引き離すわけにはいかねぇダス」と、源五郎を連れて行くことを断念した。 正義と源五郎の別れのシーンを見届けていた月城は、不意にこんな疑問を抱いた。 『どうして、月へ移住するのだろうか?』と…。
コードブレイカーズの名刺族に属する林ススム(37)は、悩んでいた。 実は、『月移住民』に選ばれたのだ。妻も娘も月移住を喜び、楽しみにしている。しかし、今さら組織を抜けるわけにはいかない…。林ススムは苦悩していた。 林ススムは回想する。それは1年前のこと。会社から突然言い渡された「リストラ」。林ススムは途方に暮れた…。失業者という自分の状態とは裏腹に、科学技術は日夜進歩を続けている。 本来なら、自分も科学の進歩を素直に喜べる人間のはずだった。 会社がリストラしたせいで、科学が進歩しようが関係のない人間になってしまった。ひょっとしたら、科学技術が進歩したせいで、リストラされたのでは…。そんな疑念を抱き始めた頃、林ススムはコードブレイカーズという組織を知った…。 リストラされたという経歴から名刺族に配属された林ススムは、同じ境遇の仲間たちと共に軍事訓練を行った。辛い日々であったが、そこには確かな充実感が存在した…。 林ススムは苦悩していた。しかし、彼は家族のために生きようと決意した。 その為に、彼は月城ミーナに協力を依頼した。「我々を襲撃し、そして私を殺したことにして欲しい」と。戦闘で死亡したことにして欲しいと、林ススムは思ったのだ。 そして、決行当日。月城は時間通りにやってきた。しかしその時、林ススムは銃を構え、月城に向けた。林ススムの猛攻に、月城は退散した。だが、林ススムは戦闘の中で被弾していた。それが致命傷となって、仲間に囲まれながら、林ススムは息を引き取った…。 数日後、東京湾国際宇宙港。 そこには、松葉杖を突きながら歩く林ススムの姿が。すべては演技だったのだ。自分を認めてくれた仲間へ「俺たちもやればできる!」という勇気を与えて去ることが、彼の目的だったのだ。最終的に家族を選んだ林ススムの笑顔は、どの家族よりも輝いていた。 その様子を影ながら見守る、月城なのであった。
米国大統領のローレンツが、日本の宇宙港を視察するために来日し、『ミーナ遊撃隊』の2人は、国連直々の指令として、大統領の護衛をすることに。白鳥総司令官は、見た目で誤魔化そうと、式典用の軍服を2人に支給した。 大月は文句タラタラであったが、軍服を着て鏡の前に立つと、その文句も消えた。軍服姿の2人は、どこからどう見ても、「優秀で勇敢な、できる軍人さん」であった。が、しかし、米国大統領のSPは、2人を冷たくあしらった。 大月はもちろんブチ切れ、すぐに「帰る!」と言い出したが、月城はなにかが腑に落ちなかった。「もうしばらく様子を見よう」と、大統領たちの後に続いた。 まもなく、月城は異常な点に気づいた。 大統領が、青い顔をして冷や汗を流していたのだ。しかし、SPにはそれを気にする様子が見られない。 月城は、早速『チーム朧』に米国大統領のSPについて調査を依頼した。 数分で、SPの顔写真データが転送されてきた。その写真と今大統領の隣にいるSPの顔が、違う!月城たちが大統領に追い付くと、今まさにSPの手によって暗殺されようとしていた!月城の『キャロットミサイル』によってSPを倒し、辛くも暗殺は阻止することができた。 が、しかし。駆け寄ってきた月城に、米国大統領は呟いた。 「…私なんぞ、暗殺されてしまえばよかったのに」 その後、大統領の視察は無事に行われた。視察は宇宙港のみで終わる予定だったのだが、急きょ日本の月基地も視察することになり、大統領は星間旅客機へ乗り込んだ。 そしてそれが、米国大統領の月面亡命であったと発覚するのは、約一時間後のことである。 『なぜ、大統領が月へ亡命を…?』 月城のメモリーに、また一つ、解けない謎が残ってしまった。
まもなく、月城は異常な点に気づいた。 大統領が、青い顔をして冷や汗を流していたのだ。しかし、SPにはそれを気にする様子が見られない。 月城は、早速『チーム朧』に米国大統領のSPについて調査を依頼した。 数分で、SPの顔写真データが転送されてきた。その写真と今大統領の隣にいるSPの顔が、違う!月城たちが大統領に追い付くと、今まさにSPの手によって暗殺されようとしていた!月城の『キャロットミサイル』によってSPを倒し、辛くも暗殺は阻止することができた。 が、しかし。駆け寄ってきた月城に、米国大統領は呟いた。 「…私なんぞ、暗殺されてしまえばよかったのに」 その後、大統領の視察は無事に行われた。視察は宇宙港のみで終わる予定だったのだが、急きょ日本の月基地も視察することになり、大統領は星間旅客機へ乗り込んだ。 そしてそれが、米国大統領の月面亡命であったと発覚するのは、約一時間後のことである。 『なぜ、大統領が月へ亡命を…?』 月城のメモリーに、また一つ、解けない謎が残ってしまった。
VOL.16 「ドキュメンタリーは蜜の味!?」 『人類の用心棒』であるミーナたちは、今やブロマイドなどの関連グッツが発売されるほどの人気者。ミーナたちが出向くところには、いつも人だかりができていた。その人気に目を付けたテレビ局「チャンネル888」が、ミーナたちを取材することに。そのメインとして選ばれたのは、なんと月城ミーナだった! 月城は有頂天だったが、白鳥総司令官に「カメラを一瞬でも意識したら、即刻『土星資源調査隊警備員行き』よ!」と、事前に言い渡されてしまう…。 取材当日、月城はいつも通りに仕事を行なっていた。カメラは、月城にまさに密着し、作業の一部始終を撮り続けていた。 その間、月城はカメラを意識せずに作業していた。その姿は、むしろ「仕事熱心な月城ミーナ」を演出し、月城の好感度を急上昇させていた。 しかし、『ああ、ピースがしたい!目立ちたい!』と、月城は心の中で叫び続けていた。 …月移住民を連れて宇宙港へ。そこで月城は、パイロットの岩波と再会した。またしても月城のパルスは乱れ、顔も赤くなった。それを見て、取材班のディレクターは叫んだ。 「ミーナの恋模様!これはいいタイトルだ!」 恋?これが恋なの!?初めてのことに戸惑う月城は、思わずオーバーヒートしてしまった! …数時間後、医務室で目を覚ました月城の第一声は、「カメラの前で失態をさらしちゃった!もうお嫁にいけない!」だった。 が、しかし!その場にもどこにも、カメラの姿がない! そこへ、玉虫ミーナがコードブレイカーズの指名手配犯の顔写真を持ってやって来た。その写真に写る連中こそ、テレビクルーの一行であった! そのとき、岩波が運転する星間旅客機が飛び立った!奴らの狙いは、あの船に違いない!