米航空宇宙局(NASA)は米東部時間12日午前7時43分(日本時間同日午後8時43分)、火星探査機「マーズ・リコネッサンス(火星・偵察)」をケープカナベラル空軍基地(フロリダ州)から打ち上げた。約7カ月間かけて火星に向かい、火星周回軌道上から大気や地表を詳しく観測。将来の火星探査のためのデータを集める予定。
リコネッサンスは、過去の探査機の約6倍もの高い解像度をもつカメラのほか、水の痕跡を探すスペクトル観測装置や気象観測装置を搭載。従来の探査機より低い軌道で、火星高度300キロの軌道から火星の表面を詳細に観測する。これまでの観測データ量の10倍の観測が期待できるという。 火星の上空255〜320キロの軌道から、火星表面にある1メートル四方ほどの物体を見分ける能力がある高解像カメラなどを搭載している。表面に残る水の痕跡を探したり、大気の状態を調べたりする。 探査機の重量は約2トンで、大きさは太陽電池パネルを広げると約14メートル。高解像カメラのほか、水の痕跡を探すスペクトル解析装置や気象観測装置などを載せている。来年3月には火星に到着し、軌道調節をした後、11月から観測を始める。 07年と09年に打ち上げが予定される無人探査機を着陸させる地点の選択に役立てるほか、11年以降に史上初めて火星からサンプルを持ち帰る探査機のための基礎データを得る予定だ。 火星では、NASAの探査機「マーズ・オデッセイ」と「マーズ・グローバル・サーベイヤー」が観測を続けている。マーズ・リコネッサンスはこれらより地表に近い軌道を回り、さらに詳しい探査を試みる。 火星周回軌道から観測する探査機は、NASAのマーズ・オデッセイ、マーズ・グローバル・サーベイヤー、欧州宇宙機関(ESA)のマーズ・エクスプレスに続いて4機目となる。 ブッシュ大統領は昨年1月、月に有人基地をつくり、将来はそこから火星へ人間を送り込む計画などを盛り込んだ新宇宙戦略を発表した。 NASA火星探査機「マーズ・オデッセイ」…長寿記録3340日更新 NASA火星探査機「マーズ・リコネッサンス」打ち上げ成功!