アルトサックスに魅せられ、脱サラして路上演奏家に転じた中村健佐(けんすけ)さん(43)の自主制作CDが2万5000枚を超す売り上げを記録した。この世界では異例のヒットだ。約2000人収容の東京芸術劇場で9月2日、コンサートを開く。
JR品川駅前に26日夜、サックスの音色が響いた。バラードやポップスに勤め帰りの会社員らが耳を傾ける。「常連」の男性会社員(60)は「歌っているような感じでしょ?」。隣に立つ女性(61)も「優しい音色が好きです」。 サックスに初めて触れたのは、宇都宮市のホンダの研究所に勤めていた27歳の時。聴衆の反応を肌で感じるライブの魅力にとりつかれた。「サックス一本で生きたい」。一時体をこわして入院、その後復帰したのを機に会社に辞表を出した。不惑目前の02年だった。著名なテノール歌手である二期会理事長の父、健さん(73)も転身を理解してくれた。 毎日、路上に立つ。CDを買う客層の中心は40〜60代の女性だ。中村さんは「メジャーになろう、という意識はない。ストリートが、ぼくの活動の基盤です」。 問い合わせはKCミュージック(03・3877・8519)へ。