2005年7月12日、ロンドンで開かれたクリスティーズの中国美術オークションで、高さ26cm足らずの壺が、1568万8000ポンド(約32億円)で落札された。東洋美術分野の落札額としては、史上最高を記録した。
この壺は、20世紀初頭に北京に駐在したオランダ人、フォン・ヘメルト氏の旧蔵品で、白い素地に呉須という青の顔料で絵付けをした青花(せいか)と呼ばれる磁器の元時代の作例。 青花は染付(そめつけ)と呼ばれることもある。当時は学術的に元時代の青花の存在が認識されておらず、同氏は明時代の作品として購入、現在まで家族の元で秘蔵されていた。 元時代の青花であることが判明したのは、クリスティーズの調査による。 同社によると、このタイプの青花は世界に8点しか現存しないとのことで、オークション会場で熾烈な競り合いが展開したのは、必然だったと言える。落札したのは、個人コレクターの依頼を受けたロンドンの古美術品業者、エスケナージ社。