菅山かおる姫登場!!バレーボールの女子ワールドグランプリ決勝ラウンドが13日から仙台市で始まる。先月末に行われた予選ラウンドの東京大会で華々しいデビューを飾った全日本初選出のレフト菅山かおる選手(JT)は、滞空時間の長い跳躍、全身を大きく使って打ち込むスパイク、ボールへの執念を感じさせるレシーブで、ファンの心をわしづかみにした。
端正な顔立ちから中継テレビは「姫」と連呼するが、浮き沈みの激しいバレー人生と一本気な性格は「サムライ」だ。宮城県岩沼市出身の26歳。地元の古川商(現古川学園高)で96年に全国高校選抜大会優勝した。卒業後に入社した小田急は99年に廃部。移籍したJTでも下部リーグ落ちを経験するなど低迷し、全日本とは縁遠かった。 チームは江藤、竹下ら全日本経験者を補強し、徐々に力をつけていったが、以前からの主力選手は居場所を失い、チームを離れていった。そんな中、菅山は競争を勝ち抜き、JTの顔として活躍を続けていた。 転機は昨春の黒鷲旗大会だった。元全日本エース・熊前の加入が決まり、レギュラーの座が危うくなった。「この大会に期するものがあった」という菅山は大車輪の活躍を見せた。 東レとの優勝戦はフルセットにもつれ込んだ。12―12から、身長169センチ・菅山のスパイクが立て続けに2本、身長186センチ・荒木のブロックにかかって負けた。努力では解消し得ない、高さ不足という課題。試合後「今後は出場の機会に恵まれないと思う。悔しい」と声を震わせた。チーム首脳からのリベロ転向の打診を受け入れたのは、それからしばらく後のことだった。 「レフトに限界を感じていた。リベロで全日本を目指そう」。菅山はそう腹を決めると、地道な練習と持ち前の高い運動能力ですぐに頭角を現した。昨季のVリーグではチームを初の4強に導き、念願の全日本にも選ばれた。 ワールドグランプリでは、全日本のチーム事情から皮肉にもレフトとしてプレーすることになった。一度はあきらめたアタッカーでの思いもよらぬ活躍、加熱する人気。しかし未練はない。「与えられた場所で全力を尽くすし、レフトとして100%の状態に戻っている。でも、私はリベロで全日本のレギュラーになりたい」と笑った。攻守にけれんみのないプレーで、故郷のファンを魅了するはずだ。 打っても守ってもかおる姫!
バレーボール女子ワールドグランプリ予選韓国ラウンドは1日、ソウル学生体育館でDグループの2試合を行い、世界ランキング7位の日本は、同12位のドミニカ共和国を3―0のストレート勝ちで下した。新加入の菅山かおる(26)の活躍で、第1セットを27―25でものにすると、続く2セットも高橋みゆき(26)らの強打で完勝。予選ラウンド通算3勝1敗とした日本は、2日に地元の韓国と対戦する。 最後は高橋の強烈なスパイクが決まって試合終了。1600人と観衆は少なかったが、1メートル90台の長身選手をそろえるドミニカ共和国を相手に会心のストレート勝ち。「われわれは優勝を目指して(ソウルに)来ている。この勢いをつなげたい」と笑顔の柳本監督を中心に、喜びの輪が広がった。 殊勲はニューヒロインの“かおる姫”菅山だった。今大会から全日本入りし、まだ日の丸をつけて4試合目だが、第1セットで好レシーブを連発。攻めても抜群の跳躍力を生かし、JTの同僚・竹下のトスから8点をマーク。菅山の活躍に呼応するように高橋がチーム最多の15点、大友と杉山もそれぞれ11点と爆発しての勝利だった。 端正な顔立ちで人気面でもブレークした菅山は、アタッカーとして宮城・古川商(現古川学園)で春高バレーを制し、注目された存在だった。しかし、入団した小田急では廃部を経験。移籍したJTでは若手の加入でリベロに転向した。だが、ようやく全日本入りした先月からは再びアタッカーとして起用され実力を発揮。「あしたもサーブレシーブが大事になる。コンビバレーができるように頑張ります」と自覚も芽生えた。 2日の相手は韓国。東京ラウンドでは3―0で快勝したが、世界ランク3位の米国をフルセットの末に破り調子は上向き。勝利には今度も菅山の活躍が必要だ。
◆菅山かおる(すがやま・かおる)1978年(昭53)12月26日、宮城・岩沼市生まれの26歳。古川商(現古川学園)から小田急を経てJT所属。最高到達点は2メートル93。足のサイズは25センチ。好物はラーメン。好きな芸能人は哀川翔。家族は両親と妹。1メートル69、56キロ。血液型O。