NTTグループは7月12日,グループ会社で別々に提供している公衆無線LANサービスのインフラを統合すると正式に発表した。 NTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)が,NTT東西地域会社やNTTドコモが保有する無線LANアクセス・ポイント(AP)の一部を譲り受け,一括して面倒をみる。グループでバラバラに行われていた設備投資を一本化することでコスト削減を図ると同時に,エリアの拡大を効率化させる。ライブドアなどの新興公衆無線LAN事業者に対抗していく構えだ。
ただし,サービスの一本化は行わない。東西NTTは「フレッツ・スポット」,NTTドコモは「Mzone」を継続して提供する。NTTBPは事業方針を転換し,無線LAN設備の構築/運用,インフラの卸に専念する。今後,各社が共通してサービスを展開するエリアを中心に設備を打っていく。既存の設備に加え,2006年度末までに約7000のAPを新たに設置する。同社が現在提供中の「無線LAN倶楽部」は12月をメドにサービスの提供を終了する予定である。 また設備の共用化に伴い,資本関係も見直す。これまでNTTBPの株式はNTT東日本が100%所有していたが,発行済株式総数の60%をNTT西日本とNTTドコモに譲渡する。NTTBPの資本構成は,NTT東日本が40%,NTT西日本が30%,NTTドコモが30%になる。 同じNTTグループ内で公衆無線LANサービス「ホットスポット」を提供しているNTTコミュニケーションズ(NTTコム)は,今回の設備共用化には参画していない。その理由は,「設備が古く(複数のESSIDを設定できないなど)共有化が難しいAPを利用しているほか,これまで海外の事業者と提携した国際ローミングに注力してきたこともあり,設備の共用化を検討するタイミングが遅れた」(NTTコム)とする。今後,設備を共用化する方向で検討を進めるが,時期は未定だという。