2003年2月の「コロンビア」空中分解事故で凍結されていたシャトルの飛行は、約2年半ぶりに再開される見通しとなった。
Return to Flight NASAは30日、野口聡一さん(40)らが搭乗するスペースシャトル飛行再開第1号「ディスカバリー」を13日午後3時51分(日本時間14日午前4時51分)に打ち上げる計画を発表した。
2003年2月1日午前7時59分(米国中部時間)に起こった、スペースシャトル・コロンビア号の事故から2年3ヶ月ぶりのスペースシャトルの飛行再開。STS-114と次に打ち上げるSTS-121がテスト飛行として、耐熱材に損傷がないか検査し、損傷があった場合の修理技術を検証する。 野口飛行士は耐熱材の修理方法や使用する道具の開発に積極的に関ってきた。「NASAの現場にいると、あくまで『Return to flight』ありき、シャトルは必ず復活するという信念の元に作業を進めているというのを強く感じます。」2003年秋、野口さんにインタビューした時のコメントです。 そして野口さんはこう続けました。「スペースシャトルが事故を乗り越えて再び立ち上がる『再生のドラマのハイライト』を見てほしい。困難なことや失敗があったときに、そこから謙虚に失敗の理由を探って弱点を克服すればいい、と感じてもらいたい。」
スペースシャトル飛行再開へ NASA、打ち上げ決定
米航空宇宙局(NASA)は30日、野口聡一さん(40)らが乗るスペースシャトルの飛行再開機ディスカバリー号を7月13日(日本時間14日未明)に打ち上げると発表した。コロンビア号の独立事故調査委員会の勧告の一部が達成できていないものの、「事故の危険性は最低レベルになった」と判断した。野口さんら7人は、約2年半ぶりの飛行に向けて最後の準備に入る。
発射場のあるケネディ宇宙センター(米フロリダ州)で開いた2日間の検討会議では、NASA幹部ら約100人が打ち上げの準備状況を議論。ディスカバリー号の打ち上げを、米東部夏時間13日午後3時51分(日本時間14日午前4時51分)に設定した。
NASAのグリフィン長官は会見で、「あらゆる角度から飛行再開の妥当性を検討した結果、打ち上げ準備は整ったと判断した」と述べた。
ディスカバリー号の打ち上げは5月に予定されていたが、直前になって外部燃料タンクに付着する氷の問題やセンサーの不具合が表面化。打ち上げを延期して改良型のタンクに取り換えた。
独立事故調査委は03年8月、飛行再開の条件として15項目の再発防止策を勧告した。これに関してNASA外部評価委は6月27日に「軌道上での修理など3項目は対策が不十分だ」との最終見解をまとめた。それでも打ち上げを決断した理由について、グリフィン長官は「現在の知識で可能な限りの対策を施し、宇宙飛行のリスクを抑えた」と強調した。
外部評価委は最終見解で飛行を禁止したわけではなかった。「勧告」を厳密に解釈し、達成度を評価しただけで、「打ち上げは可能だ」とする委員も少なくなかった。その意味で、今回のNASAの決断がただちに安全軽視とはいえない。
ただ、2010年のシャトル引退まで28回の飛行予定について、同長官は「15〜23回が限度」とニューヨーク・タイムズ紙に語っている。国際宇宙ステーション(ISS)の完成という課題に向けて、さらなる停滞は避けたい。ISSへの人員や物資の輸送についてロシアに頼り切っている現状も問題視されている。一日も早く飛行を再開したい事情がNASAにあったことは事実だ。