アディダス・ワンはアスリートのために「走る」という行為を科学的に分析し、「自らが感じ、考え、判断し、最適化を目指して動作する」という画期的なハイテクノロジー・インテリジェント・シューズだ。テクノロジーとスポーツの架け橋として登場した、改革と未来を感じる「考える靴」が登場した。
アディダス・ワンは、走行中のアスリートの体重や、走行スピード、路面コンディションなどの環境を把握する。周辺環境を感知するための「神経」として「磁気検知システムセンサー」をかかと部分に装備している。磁気検知システムセンサーは、何と、毎秒1000回の頻度で、走行中のアスリートのかかとにかかる衝撃をモニター出来るという、ずば抜けた能力を持っている。
3年以上をその研究と開発に注ぎ込み、2005年の春、やっと製品化に辿り着いた「adidas_1(アディダス・ワン)」というインテリジェントシューズは注目に値するプロダクトだ。この製品が目指す、アスリートのための「オンリーワン型インテリジェント・シューズ」という、従来に無いポジショニングは、マーケット・インのストラテジーとしては興味深い。
勝つことがすべてであるかの様なグローバルビジネスの世界にあって、徹底的にWIN型人間の育成を目指すものの、今ひとつ説得力のない人材センターが横行している。一方、ベストワンより「オンリーワンを目指せ!」と、一見して負け惜しみのようにけしかける同業者も溢れている。 「勝ち負け」は戦って初めて結果の出るモノだが、日本では幸いなことに、殆ど大多数の人間が初めから戦ってもいないのに「どっちもどっち」だと思う筆者のように醒めた人間が多いのも事実だろう。もちろんオンリーワンではない人間が地球上に存在しないことは当たり前だ。 しかし、勝ち負けとは関係なく、毎日のように多種多様な製品が生まれて溢れ出るビジネスの世界では、新製品の位置づけ(ポジショニング)は極めて重要な問題だ。この考え方はすべてのアスリートのための専門メーカーであるアディダスも同様のようだ。 そして、磁気検知システムセンサーで正しく捉えられた基礎データを基に、土踏まず付近に埋め込まれた「脳」に当たる5MPISを実現する「マイクロプロセッサー」がデータを理解し、そして計算して、「今、アディダス・ワンはどういう対応をすべきか」というリアルタイムの対応策を即座に計算し打ち出してくる。
計算された対応策を受けて同じく土踏まず部分に内蔵されている超小型モータが、かかと内部を縦断するように収納されている「金属ワイヤー」を操作して、かかとのクッション性能をコントロールする。この金属ワイヤーがかかとの内部に「筋肉」の様に収められている「衝撃吸収ユニット」を側面から引っ張ったり緩めたりすることで、クッション性を制御するのだ。
走行中、アディダス・ワンが常にリアルタイムでこのプロセスを繰り返すことで、アスリートは、競技のルールや自分の意志にのみ従い、ただひたすら走ることだけを考えていれば良いことになる。アディダス・ワンは常に変化する周囲のあらゆる事象を検知、解析し、最適の環境をリアルタイムで構築してランナーの走行をサポートする。