タス通信によると、露国防省の専門家は22日、太陽の光を巨大な帆に受け宇宙空間を飛行するソーラーセール「コスモス1」が、バレンツ海のノバヤゼムリャ島付近に墜落した可能性が高い、との見方を明らかにした。
インターファクス通信によると、露宇宙局も「コスモス1」からの信号を確認しておらず、現在の位置を特定できていないという。
「コスモス1」を搭載したロケットは、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を改造したもの。バレンツ海の露原子力潜水艦から21日深夜に打ち上げられたが、エンジンが83秒後に停止、地球周回軌道への投入に失敗していた。 航空宇宙局の報道担当官は、ロケットの故障は船体を失ったことを意味する、と語った。船体は、高度約800キロの地球周回軌道を目指し、バレンツ海のロシア原子力潜水艦から打ち上げられていた。
ロシア国防省によると、ロケットや船体の残がいを捜索する作業を始めた。
米カリフォルニア州パサデナにある米惑星協会の本部は、当初、船体からの信号を数時間、受け取っていなかったものの、周回軌道に乗ったことを示す信号をとらえた、と発表した。ただ、当初の予定より低い軌道を飛行している可能性があり、位置については不明とも述べていた。
太陽帆船は、巨大な帆で太陽から放出される光を受け、その圧力で前進する。太陽光からの推進力は弱いが、帆船は光を受けている限り加速を続けることができ、燃料を運ぶ必要もないため、効率の高い動力として注目されている。
今回は、地球の周回軌道へ打ち上げるのが目的。太陽光が宇宙旅行の動力として十分に使えることを示すのを目指している。軌道に達したところで、長さ約15メートルの薄い羽根8枚を組み合わせた風車型の帆を広げ、加速を始める計画だった。
太陽帆船は、巨大な帆で太陽から放出される光を受け、その圧力で前進する。太陽光からの推進力は弱いが、帆船は光を受けている限り加速を続けることができ、燃料を運ぶ必要もないため、効率の高い動力として注目されている。 「コスモス1」と名付けられた惑星協会の帆船は、高度約800キロの軌道に達したところで、長さ約15メートルの薄い羽根8枚を組み合わせた風車型の帆を広げ、加速を始める。24時間後の時速はわずか約160キロだ。しかし、仮にこのまま3年間加速を続ければ、時速16万キロ以上に達する。これは、太陽系のはずれに位置する冥王星に約5年間で到達できるスピードだ。
コスモス1はロシアで製作、打ち上げ事業費は約400万ドル(約4億3000万円)で、宇宙プロジェクトでは異例の低コストになっている。