今週末のF1サーカスは北米ラウンドの2戦目、2005年F1世界選手権第9戦アメリカGPを迎えている。舞台は今年もアメリカン・モータースポーツの聖地と呼ばれるインディアナポリス・モーター・スピードウェイ。時速300kmを優に超えるオーバルコースの迫力はもちろん、実に25万人の観客を飲み込む巨大なスタンドなど、すべてがアメリカらしい壮大なスケールと雰囲気に包まれている。
午前中に行われた1回目のフリー走行では、ファン-パブロ・モントーヤ(マクラーレン)がトップタイムをマーク。かつてCART時代には優勝を遂げたサーキットとあって、ここで幸先の良いスタートを切ったモントーヤは意気揚々だ。また、惜しくも勝機を逃した前戦カナダGPの雪辱という意味でも力の入る一戦だろう。 午後のインディアナポリスは気温24℃、路面温度45℃、湿度39%のドライコンディション。定刻の現地時間14時(日本時間28時)になるとフリー走行2回目のセッションが始まった。 開始と同時にペドロ・デ・ラ・ロサ(マクラーレン)、スコット・スピード(レッドブル)、パトリック・フリーザッハー(ミナルディ)らがタイムを刻む。トップはデ・ラ・ロサ。また、スピードは前戦カナダGPに続き、レッドブルのサードドライバーとして母国アメリカで待望のF1グランプリ出場を果たしている。一方、午前のフリー走行で2番手につけていたリカルド・ゾンタ(トヨタ)がコースオフ、グラベルにはまり、セッションを中断してしまった。 セッション開始5分過ぎ、午前のフリー走行でノータイムだったキミ・ライコネン(マクラーレン)が早々にアタックを開始、1分11秒489でトップに躍り出る。2番手にはデ・ラ・ロサ。そして3番手にはニック・ハイドフェルド(ウィリアムズ)が続くが、すぐさまミハエル・シューマッハ(フェラーリ)が取って代わり、3番手に収まった。チームメイトのルーベンス・バリチェロも4番手につけている。 2回目のセッションは序盤から展開が早い。午前中トップと好調のモントーヤがライコネンに次ぐ2番手につけると、デビッド・クルサード(レッドブル)が3番手に浮上。デ・ラ・ロサはかろうじて4番手に踏みとどまり、5番手にはヤルノ・トゥルーリ(トヨタ)。これにフェラーリの2台が続く。一方、日本期待のB・A・R Hondaは佐藤琢磨もジェンソン・バトンもまだアタックを行っていない。 セッション開始13分、ラルフ・シューマッハ(トヨタ)にまさかのアクシデントが襲いかかる。昨年、大クラッシュを演じた同じオーバル区間の最終コーナーでコントロールを失い、スピン。サーキット中が騒然となる中、赤旗が出された。さいわいラルフは大事には至ってない様子だが、マシンは大破している。原因は左リアタイヤのトラブルのようだ。 20分の中断を挟み、ようやく再開されたセッションはマーク・ウェバー(ウィリアムズ)を皮切りに、デ・ラ・ロサやミナルディ、ジョーダン、ルノーの2台といった顔ぶれが再びコースに姿を現した。しかし、タイムを大幅に伸ばしたのはバリチェロ。1分11秒746でライコネンに次ぐ2番手につけ、これに釣られるようにしてシューマッハも3番手に順位を上げる。一方、気になるB・A・R Honda勢は琢磨が9番手につけているものの、バトンは未だガレージに収まったまま。しかし、そのバトンも間もなくコースインし、11番手タイムをマーク。さらに一つポジションを上げるが、琢磨は逆に12番手に後退してしまった。 セッション残り時間は10分。再びコースに出て行ったライコネンが自らの最速タイムを塗り替える1分11秒228を刻むが、直後にモントーヤが1分11秒118を叩き出してトップに浮上。チームメイト同士の激しいタイム合戦が繰り広げられると同時に、マクラーレンが1-2態勢となった。 本来、60分で終了するはずのセッションは、ラルフの事故による赤旗中断のため、20分延長されたが、終了6分前に5番手に飛び込んだハイドフェルドや8番手に急浮上したスピード以外は目立った順位の変動はなく、トップも変わらず。モントーヤが初日のフリー走行を2回とも制した。また、ライコネンも2番手につけたマクラーレンは前戦カナダの勢いを、ここインディアナポリスにも持ち込んでいるようだ。 マクラーレンに続いてはバリチェロ、シューマッハのフェラーリ勢がつけており、まだ初日とはいえ久々に面白い展開に。これに5番手のハイドフェルド、6番手のデビッド・クルサード(レッドブル)が続き、7番手以降にはデ・ラ・ロサ、スピード、アロンソ、トゥルーリと、スポット参戦のスピードがF1のトップドライバーたちを抑える格好となった。 その他、ルノーの一角フィジケラは11番手、B・A・R Hondaのバトンと琢磨は15、16番手にとどまった。 18日(土)の日本時間23時(現地時間9時)からはフリー走行3回目が行われる。一発勝負の予選前の調整に注目だ。