PSPにキラーコンテンツとしてUMDビデオが登場する。これは『ファイナルファンタジー』やどんな有名なゲームよりも強力なキラーコンテンツが登場する。ソニーの新しい携帯ゲーム機『プレイステーション・ポータブル』(PSP)にとって真のキラー・コンテンツは、ゲームよりも「リアル」な衝撃をユーザー与える製品なのかもしれない。
ソニーは禁じ手を使ってしまうのか?それとも予定されていたモノなのか?
日本のDVDメーカーが、人気女優の作品をソニーの『UMD』(ユニバーサル・メディア・ディスク)規格でリリースする。UMDは、今のところPSPのみに採用されていて、しかもこのビデオは、正規品かどうか疑わしい怪しげなアングラ作品ではない。来月発売される8タイトルはソニーの正規ライセンスを受けており、パッケージにはPSPのロゴもつく。 このソニーの決断は微笑ましい内容のものではない。ソニーがUMDを携帯型メディアの標準にしたいと真剣に望むなら、アダルトコンテンツは市場の大きな起爆剤になる可能性がある。 コンテンツのリリース価格は1925円から3800円となる予定で。UMDビデオではDVDと同じく地域コードによる視聴制限がかけられていたがUMDは、どの国で購入したPSPでも観られるようだ。 昨年12月にPSPが日本で発売されて以来、15本ほどのUMDビデオがリリースされているが、その内容は『スパイダーマン2』のような長編映画や音楽ビデオ、アニメなどだった。これから2ヵ月の間に発売ペースはかなり上がる予定で、巨大ロボットが戦うアニメシリーズの『機動戦士ガンダムSEED』や、『カンフーハッスル』、『スタスキー&ハッチ』などの映画が控えている。 PSPがビデオ市場にアプローチするというのは、新しいメディア規格にとって成功につながったケースは多い。新しもの好きを引き寄せ、さらに一般の消費者に受け入れられるためには、ビデオコンテンツは昔から非常に魅力的な素材なのだ。 コンテンツを供給するメディアは『UMD』(Universal Media Disc) ・65mm×64mm×4.2mm、3.5インチフロッピーディスクよりも一回り小さく,重さもわずか10グラム ・容量は1.8GBのデータが格納可能「片面2層」記録
PSPコンテンツとしてゲームソフトのほかに,ATRAC3plusオーディオコーデックを採用した音楽ソフト,MPEG4 AVCビデオコーデックを採用したビデオソフトも発売される予定
過去に家庭用ビデオレコーダーが次の目玉商品としてもてはやされていた時代、勝利を収めたのは画質では上回っていたソニーの『ベータマックス』ではなく、VHS規格だった。 なぜだろう? それは映画業界がVHS側についたからだ。ソニーが業者にライセンスを与えようとしなかったとする説もあるが、ベータマックス発売当初の最大1時間という録画時間が、どのようなジャンルであれ、長編映画を収録するには短すぎたというほうがより納得のいく説明だ。 ソニーの『プレイステーション2』が成功したのも、2000年の発売当時、日本では抜群に安価なDVDプレーヤーだったという事実にが非常に大きい。この影響でDVD規格でもビデオコンテンツから恩恵を得ているのは有名な話だ。このケースでは、シーンをスキップする機能が鍵となった。この機能があれば趣向に応じて、ドラマ部分が不要であったとしても、そのシーン部分を全部飛ばして、居心地のいい場面にルパン三世の如くジャンプすることができる。 そういうことなら、PS2はゲーム機市場で圧倒的なシェアを獲得したことについて、少なくとも一部は巨大な日本のビデオ市場のおかげだと、感謝しなくてはいけないことになる。 しかしVHSビデオもDVDも他人の目のない自宅で観るものだが、携帯ゲーム機のPSPで観られるアダルトビデオは、はたして受け入れられるのだろうか? 米国でUMDビデオの売上が急増している――『バイオハザード II アポカリプス』や『LOVERS』といった映画のUMD版は4月の発売以来、10万枚以上売れている――とはいっても、PSPのロゴが入ったポルノが米国で発売される可能性は低い。
UMD版ビデオがPSPが現在必要としているカンフル剤的な役割を果たすのか(そして、その「カンフル剤」を注射するのが、今回リリースされるビデオなのか?結果が判明するのはまだまだ先の話になるが。過去の事例を見る限り確実に普及の手助けになっている。