ミリオンダラーベイビーは、アカデミー賞で作品賞など主要4部門を制した話題の作品ですが、その内容は気力の充実したクリント・イーストウッド監督渾身の最新作。ミリオンダラーベイビーのアカデミー賞4部門受賞は伊達じゃない。話題だけで興味を持って観ても、助演男優賞受賞の名優モーガン・フリーマンの演技もを観るだけでも十分な価値がある。孤独な男と女子ボクサーの父娘のような絆を、痛切なドラマの中に描く感動の作品です。
女子ボクシング界での成功を夢見るマギーが、年老いたトレーナー、フランキーに弟子入りする。マギーは連戦連勝し、2人は深く心を通わせるが、タイトルマッチに臨んだ彼らに思わぬ悲劇が降りかかる。 「自分を守れ」が信条の老トレーナー、フランキー(クリント・イーストウッド)は、23年来の付き合いとなる雑用係のスクラップ(モーガン・フリーマン)と、昔ながらのジム、ヒット・ピットでボクサーを育成している。 有望株のウィリーは、教え子を大事に思う余りタイトル戦を先延ばしにするフランキーにしびれを切らし、他ジムの敏腕マネージャーの下へと去ってゆく。フランキーはスクラップが現役だった当時にタイトル戦を急いでしまったがために、選手生命を絶つ怪我を負わせてしまったことに負い目を持ち続けていた。 そんな折、フランキーの前に現れた31歳の女性ボクサー、マギー(ヒラリー・スワンク)。マギーはフランキーの指導を乞うが、昔気質のフランキーは女のボクサーを認めようとしない。だが連日ジムに通い詰めるマギーの一本気さに、やがてフランキーの心も揺り動かされ始め、自分に意見をしないこと、女性扱いはしないことを条件に彼女を鍛えることを承諾する。
ヒラリー・スワンクが命がけでクリント・イーストウッドに秘密にしていた
本当はとてもオシャレ好きで普段はスカートでいることが多いというヒラリー・スワンク。 アカデミー賞主要4部門を受賞した『ミリオンダラー・ベイビー』で自身も主演女優賞を獲得し、わずか30歳で2度目のオスカーを手にしたヒラリー・スワンクがインタビューで「クリントに絶対に秘密にしていたことがあった」とインタビューで明かした。 『ミリオンダラー・ベイビー』は激しいボクシング・シーンの連続だが、撮影に入る前のトレーニングで、ヒラリーは足につくったマメがつぶれ炎症を起こし、医者に「命にかかわる」とボクシングを止められていた。 「自力では歩けなくなった。もし、その炎症が血管を伝って心臓まで到達してしまうと命があぶないと医者に言われたわ。そして、足に血管が浮き上がってきたら、それは最後の合図だと言ったの。でも私は(ボクシングを)やるしかないのよ、と言ったら医者は死ぬかもしれないよと……それはとても深刻だったわ」と当時を振り返った。トレーニンジムへはトレーナーにおぶられて通っていたらしい。 「でも、このことはクリントには絶対秘密にしていたの」と監督であるクリント・イーストウッドの前では平静を装っていたことを告白。痛みにたえながら並ならぬ女優魂でこの事態を乗り切ったスワンクが見事な演技でオスカーに輝いたのは命をかけた上での結果だった。
□ ミリオンダラー・ベイビー公式サイト 5/28(土)〜公開 www.md-baby.jp