ザ・インタープリターは、映画史上初めて、ニューヨークの国連本部内での撮影が許された作品として話題を集めている。世界191の国と地域が加盟している国連のその象徴ともいえる本部ビルは、ヒッチコックの名作『北北西に進路を取れ』でさえも撮影許可が下りず、セットで撮影せざるをえなかったといういわく付きの場所で、当然?今回も、当初はあっけなく断られたというが、最終的には撮影が実現した映画の中身とは?
物語は、国連通訳のシルヴィアが、偶然、アフリカのマトボ共和国大統領の暗殺計画を耳にしたことからはじまる。彼女の生活は、暗殺計画を通報したことで一変。不審なアフリカ人の影が忍び寄るようになる。一方、シークレット・サービスも動き始めるが、彼女を守るどころか、嘘をついているのではないかと疑う始末。そうした中、シルヴィアにとっては不利となるような彼女の過去が、次第に明らかになってゆく──。 主役のシルヴィアを演じるのは、一昨年『めぐりあう時間たち』でアカデミー主演女優賞に輝いたニコール・キッドマン。彼女に疑いの目を向けるシークレット・サービス役に、昨年『ミスティック・リバー』でアカデミー主演男優賞を受賞したショーン・ペン。2人の演技派俳優の初顔合わせも話題の1つだ。さらには監督も、『愛と哀しみの果て』でアカデミー監督賞を獲得したシドニー・ポラックと、豪華なアカデミー賞トリオが実現。加えて、“国連本部で初ロケ”というオマケまで付いて、セールスポイントには事欠かない。 「当初はあっけなく断られたと」と冒頭に述べたが、それが実現に至ったのは、監督のみならず、製作総指揮も務めるポラックの粘りにあるようだ。数々のコネを使い、アナン事務総長との面談にこぎつけ「国連の宣伝映画にするつもりはなく娯楽映画である点」と「砲弾の代わりに言葉を使う物語である点」を説明したという。 最終的に、安全保障理事会の許可を条件にOKを出した同事務総長は、4月に開かれた米国のトライベッカ映画祭で本作がプレミア上映された際に、「多くの不祥事が生じている国連の説明が、今ほど必要とされている時はない」とスピーチしたようだ。 ちなみに撮影は、平日の仕事の邪魔にならないよう、主に週末を利用して行われ、5カ月近くを要したという。クライマックスを飾る会議場のシーンをはじめ、普段、なかなか目にする機会のない国連内部を見たければ、映画館に足を運ぼう。 □ 『ザ・インタープリター』公式サイト』公式サイト http://www.inpri.jp/