英国南東部の海岸で約1カ月前、ずぶぬれの黒いタキシード姿で見つかった男性が話題を呼んでいる。 入院先の病院では人におびえた様子で口を閉ざしている。だが、鉛筆を持たせるとグランドピアノを描き、鍵盤に向かうとプロ級の演奏を披露する。「沈黙のピアニスト」。英メディアを通して、男性の身元捜しが広がっている。
男性は20〜30代で身長約180センチ。4月7日にケント州シアネスの海岸をさまよっているところを保護された。着衣のラベルはすべて切り取られ、身元の手がかりになるものはなかったとされる。精神的ショックを受けたためか記憶を失い、精神が不安定な状態が続いているという。
病院側は身元を特定しようと、鉛筆と紙を渡したところ、細かい筆致でグランドピアノといすを描いた。ピアノの前に座らせると、一転してリラックスした様子となり、チャイコフスキーの白鳥の湖や自作と思われる曲を2時間以上にわたって演奏したという。
英メディアが男性の写真を報じた後、行方不明者を捜す電話サービスなどに、欧州全域から160件以上の問い合わせがあったという。 南部のケント州で雨にずぶぬれになって歩いていたところを保護された「謎のピアニスト」は、フランス南部ニース出身の大道芸人である可能性が高まったと報じた。
最新の情報では、イタリア警察への当局への問い合わせに、”フランスで競演した人ではないか?”との内容があり、路上で音楽を演奏する音楽家では無いかと言われています。この情報に基づいてフランス警察が捜査しているようです。
それによると、イタリアで大道芸人をしているポーランド人男性(33)がピアニストに関する新聞報道を読んだ後、イタリア警察に「自分の相棒で、彼はニース出身のフランス人路上ピアニスト、スティーブ・ビラ・マッソン氏だ」とローマの警察に届けた。同国警察当局はインターポール(国際刑事警察機構)を通じ、英当局に連絡を取っているという。
しかし、18日のフランス公共ラジオによると、ニースのマッソン氏の姉妹は同日「17日にニースでスティーブと会った」と明言。いとこも18日、「けさニースにいるスティーブと電話で話した」と述べ、「謎のピアニスト」がマッソン氏との情報を否定した。
英BBC放送によると、英国の福祉関係者も「本人の写真など確かな証拠を手にするまでは、単なる可能性にすぎない」との見方を示している。