映像をやり取りできる「Skype Video」も開発している。
音声通話やチャットの次は映像というのが自然な流れだ。ブロードバンドの普及も後押ししている。Skypeの音質の良さは,PtoP(peer to peer)の技術を使い,サーバーを介さずにユーザー同士が音声パケットを直接やり取りする点にある。同様に映像のやり取りもPtoPの技術を使う予定だ。
映像の品質を高めるのは非常に難しいが,帯域をうまく制御する機能を備えたものを現在開発している。社内の評価も順調に進んでおり,十分な品質を実現できることが確認できれば,すぐにでもリリースするつもりだ。年内には提供したい。
Skype Videoは音声通話やチャット,ファイル転送などと同様に,Skypeの標準機能として提供する。基本的には無償になる。
企業向けの「Skype for Business」も開発中。
我々の調査では,ユーザーの30%がビジネス用途でSkypeを使っている。部署単位などで活用しているケースが多い。しかし,一般の固定電話に着信するSkypeOutやSkype Voicemailなどの料金を,それぞれのユーザーが個別に支払うのは不便という声を聞いている。
Skype for Businessでは,SkypeOutやSkype Voicemailなどの利用料を企業がまとめて購入し,社内の複数ユーザーが共有できるようにすることなどを検討している。年内には提供する予定だ。
Skypeの機能強化に関し,様々な要望をいただいている。しかし,企業内のPBXを置き換えるようなことは考えていない。すべての要望にこたえていくと,結局は「IP-PBX」と同じになり,Skypeの魅力が薄れてしまうからだ。
固定電話から着信できる「SkypeIn」は,日本で提供できるか?
SkypeInは現在9カ国(米国,英国,フランス,ポーランド,スウェーデン,デンマーク,フィンランド,ノルウェー,香港)で提供している。しかし,これらの国と違い,日本には多くの規制がある。IP電話は050番号を使うことになっており,050番号を取得するためには,閉じたネットワークで一定の音質基準を満たす必要がある。
音質には自信があるが,インターネットはベストエフォート型で,ノンコントロールなネットワークである。我々はネットワーク・プロバイダではないので,日本の通信事業者と提携しなければならない。SkypeInを日本で提供するのはかなり難しいが,なんとかして実現したい。
アフィリエイト・プログラムも開始。
我々の狙いは,Skypeのユーザーを増やしてビジネスを広げること。Skypeのロゴを使った商品はSkypeの宣伝につながるし,APIを公開すればSkypeの活用シーンが広がる。Skypeの上に多くのサービスを載せ,最終的にはユーザーのメリットにつなげていきたい。
アフィリエイト・プログラムは約2週間前に開始した。ホームページなどでSkypeのダウンロード・ページにリンクしたバナー広告などを張ってもらい,そのサイト経由で他のユーザーがSkypeの有償サービス(SkypeOut,SkypeIn,Skype Voicemail)を利用した際に紹介手数料を支払う。
IPOや日本法人設立の予定は?
株式公開の計画はまだない。投資会社と従業員を養っていけるだけの利益が出ればいい。SkypeInやSkypeOut,Skype Voicemailといった有償サービスを提供することで経営はうまくいっている。今はSkypeのビジネスを広げることに注力している。
中でも日本は非常に重要な市場と考えている。人員の増加などで日本でのプレゼンスを強化していく予定だが,日本法人を設立する時期までは決めていない。