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May 5, 2005 space
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アイスマン:5300年前のアルプス殺人事件を追え!

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アイスマンをご存知でしょうか?1991年9月19日、イタリアのチロリアンアルプス標高3210mの氷河から発見された「生身の冷凍ミイラ」は、その後の調査で5300年間氷河で冷凍保存された状態だった事が明らかになりました。しかもその後の調査で、実は矢で射られてから8時間後に死亡した『殺人事件』だったようです。
 

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1991年9月19日、オーストリアのチロリアン・アルプスに位置するエッツタール渓谷で山歩きを楽しんでいたシモン夫妻が、氷河で覆われた小渓谷 (海抜約3200 m) の溶けかけた氷水の中に褐色に変色し骨や脊椎が浮き出た死体 (アイスマンと呼ばれる) を発見した。
 
当初は、10年以上前に遭難した人と考えられていたが、その後の警察によって23日にインスブルック大学の法医学教室に運び込まれ、検死によってすぐにはるかにかなり古い遺体であることが判明した。翌日には解剖学教室に移され詳細な研究が始まった。
 
アイスマンは身長159 cm、生前の推定体重40 kgの46歳程度の男性とみられ、関節炎に罹患し、鞭虫に寄生され、鼻骨が潰れ、治癒していない肋骨骨折が数ケ所見つかった。散髪した跡があり、刺青のような短い青い線が脊椎の下部、左足、右足首の皮膚に認められた。
 
さらにヤギ、カモシカ、鹿の毛皮でできた着衣の断片、樹皮繊維で編んだ外套、毛皮の帽子、革製で草をつめた靴を身につけ、木製の柄のついた銅製の小さい斧と火打石の短剣、イチイ製の長弓、ガマズミ製の14本の矢を入れた毛皮の矢筒を装備していた。
 
インスブルック大学のシュピンドラ−博士らは炭素の放射性同位元素の測定を行ってアイスマンが死亡した年代を分析した。その結果は、56 %の確率で紀元前3300年頃で、死後約5300年経過していたことになる。
 
なお、アイスマンの発見現場は実際にはオーストリア・イタリア国境のイタリア側にあったことが判明し、正式な所有権はイタリア政府に移った。オ−ストリア人はアイスマンをエッツタ−ル渓谷にちなんで「エッツィ」と命名したが、イタリア人はそれに反発して「ヒベルナトゥス」と再命名している。
 

iceman03.jpg

 
アイスマンのDNAは、ミュンヘン大学動物学教室のパ−ボ教授の研究室で、遺体回収時に損傷が生じた左殿部の組織 (筋肉、結合組織、骨の8サンプル) と炭素の同位元素を測定した組織1サンプルから採取した。
 
ミトコンドリアDNAは、同一地方の同一民族内でも多数の型が存在する。そこでアイスマンの型と何塩基異なるかの平均値を求めたところ、もっとも差が小さいのはアルプス地方とアイスマンが発見されたエッツタール渓谷の住民で、平均3.38塩基、北部ヨーロッパはそれに次いで差の平均値が小さいが、サハラ地域アフリカ人、シベリア人、アメリカン・インディアンでは差は大きく平均6.64以上となった。この結果からは、アイスマンは北部ヨーロッパやアルプス、エッツタ−ル地域の住民に近いことになる。
 
「ミトコンドリアのイブ」仮説
 
アイスマンは当初は寒さと飢えで死亡したものと考えられていたが、体内から発見された花粉は死亡時期が春から初夏頃であることを示し、また、2001年にはレントゲン撮影によって左肩から火打石製の矢尻が発見された。
 
3次元CTスキャンで再現されたその矢尻はアルプス南部と北部イタリアに特異な舌状形の石器で、アルプス北部の基部が平坦な矢尻とは異なっている。
 
矢は貫通し、肩甲骨に約2センチの穴を開けました。重要な器官は傷つきませんでしたが、彼に致命的な傷を負わせたと考えるのが妥当です。彼が矢を受けた理由は謎のままで、100メートル離れた下方から矢が飛んできたということだけ分かっています。彼は (同族の仲間によって?) 背後から射られ、矢は肩甲骨を粉砕し、近くの大血管と神経を傷害し、左腕を麻痺させ、出血多量で苦痛の死を迎えたことが推測されている。右手に深い切り傷があり、アイスマンは死ぬ直前に格闘をしたと解釈することができます。
 
 アイスマン、腸の残留物から5300年前の生活の様子が判明
 
 アルプスの氷河で氷づけになって発見された「アイスマン」の遺体の残留物の新たな分析によると、アイスマンは傷の応急処置に水苔を使っていたかもしれないという。

[アイスマンは、アルプスにあるイタリア・オーストリア国境のエッツィ谷(海抜3210メートル)の氷河で1991年に見つかった、約5300年前の男性のミイラの愛称。作りかけの弓矢や、精錬された銅製の斧を所持していた]

別名「エッツィ」として知られるアイスマンは、矢を射られて受けた傷と右手の深い切り傷に苦しみ、苔を使って応急処置を施した可能性がある。苔は創傷の手当てに使えることがよく知られており、つい最近の20世紀まで使用されていた。

「アイスマンが水苔の実用的な特性を知っていたとすれば、まことにもっともな話だが、1カ所あるいは複数の傷の出血を止めるために、水苔を集めていた可能性がある」と、グラスコー大学の植物考古学者James Dickson氏の研究チームは『Vegetation History and Archaeobotany』誌に書いている。「指に固まった血に、水苔の小さなくずが付着しており、肉やパンを食べる際に、知らず知らずのうちにそれを飲み込んでいたのだろう。アイスマンが最後の数日間にこれらの食物を摂取していたことが知られている」

だが、傷に対処する方法を知っていたにもかかわらず、アイスマンは死を免れることができなかった。アイスマンの死因は矢によって受けた傷だと考古学者たちは考えている。[2001年に、X線撮影で左肩に矢尻が見つかった。2007年にスイス・チューリヒ大などの研究チームが行なったコンピューター断層撮影装置により、動脈付近の傷が詳細に分析され、動脈損傷による失血死であることが実証された]
 
遺体や遺骨の周辺や体内で見つかった生物の分析は、先史時代の人々の食生活や習慣に関する研究に新たな側面を追加しているが、アイスマンの場合、この研究は特に有益だった。考古学者たちはこれまでに、アイスマンの腸にいた腸内寄生虫と、虫下しに使用していたと見られる、樹皮に生えるキノコを確認している。
 
1991年に発見されて以来、アイスマンは各方面から幅広く関心を集めてきたが、新しい研究の基礎になったのは、腸から採取された5つのサンプルだ。合わせて6種類の苔が見つかっている。科学者たちによると、これらの苔のいくつかは、この銅器時代に生きた人物が、最後の数日をどう過ごしたかを明らかにしているという。[銅器時代は、青銅器時代に先行して、錫を含まない自然銅を鍛造成形して石器と併用して使用する段階]
 
例えば科学者たちは、アイスマンがヒラゴケの一種Neckera complanataで食物を包んでいたと考えている。なぜなら、摂取食物サンプルのすべてからこの苔が見つかったからだ。それだけ多く見つかったということは、Neckera complanataが意図的に使用され、偶然に飲み込んだのではないことを示唆している。
 
湿った場所に見られるまた別の種類の苔が見つかったことから、アイスマンは死亡するまでの数日間、塩気のある水を飲んでいたとも推定されている。


 
 アイスマン、埋葬の可能性 伊考古学者が新説
 
イタリアのアルプスの氷河で1991年に凍った状態で見つかった約5300年前の男性「アイスマン」はふもとで死亡し、発見現場に運ばれて埋葬された可能性が高いとの研究結果を、同国の考古学者が明らかにした。オーストリア紙プレッセが26日伝えた。
 
アイスマンの肩には動脈を傷つけた矢の傷があり、部族間の争いなどの末、標高約3200メートルの発見現場で死亡したとの説が有力だった。今回の説はそれを完全に否定するものとなる。
 
ローマ大学の考古学者グループは5年がかりで現場を調査し、アイスマンの死体と共に弓と矢や短剣、おのなど多くの装備が見つかったことや、弓と矢の大半が未完成品だったことに注目。戦闘で死亡したならば「武器は勝者に持ち去られていたはず」と指摘した。

 
 アイスマンの埋葬あり得ず イタリアの考古学博物館が反論
 
 イタリアのアルプスの氷河で1991年に凍った状態で見つかった約5300年前の男性「アイスマン」を保存する同国北部ボルツァーノの考古学博物館は8月31日までに、発見現場に運ばれて埋葬されたという同国の考古学者の新説について、アルプスの高山で当時、埋葬が行われた例はないと述べ、否定的な見解を示した。
 
アイスマンは現場で死亡したとの従来の説を支持する形となった。考古学者グループは8月、アイスマンはふもとで死亡し、ミイラ化した数カ月後に標高約3200メートルの現場に運ばれて埋葬されたと述べていた。
 
一方、博物館側はふもとで死亡し、数カ月後に埋葬された場合、死体は極度に腐敗していたとして「アイスマンは雪や氷に守られてきた。氷河まで運ばれたとは考えられない」と結論づけた。

 
 アイスマンは最後にヤギを食べていた
 
20110624-iceman.jpg アイスマン(エッツィ)の胃の残留物を分析した結果、死の数時間前に大量の野生ヤギの脂身で腹ごしらえしていたと判明した。
 
エッツィは約5000年前の銅器時代のハンターで、1991年にイタリア北部のアルプス山中から凍った状態で発見された。死亡時の状況は完全には解明されていないが、背中の矢傷などから、山中を逃亡する途中で他のハンターに殺害されたという説が有力だ。
 
2008年の腸内残留物の分析では、死の最大30時間前に穀物のほか、調理したと見られるアカシカやヤギの肉も食べていたと判明。しかし胃の内視鏡でのサンプル採取は失敗した。内視鏡が届かなかった理由は翌年、CTスキャン画像の分析で明らかになった。胃が適切な位置になく、本来は肺の下部があるべき辺りまで死亡後に移動していたのだ。
 
イタリア北部ボルツァーノにあるミイラ・アイスマン研究所の微生物学者で、研究に参加したフランク・マイクスナー(Frank Maixner)氏によると、「上方へ移動した理由は不明」だという。
 
エッツィの胃は、周囲臓器の調査から発見された。胆嚢(たんのう)中の胆石などを見つけ、相互の位置関係から胃を特定できたという。自然にミイラ化したエッツィの胃はかなり萎縮していたが、残留物のサンプルは採取できた。腸と同じように、肉や小麦の痕跡が見つかったという。
 
さらに、一部が未消化で残っており、相当な量の食事を取った後、2時間以内に死亡したようだ。「残留物の色は黄色や茶色で、ほとんどが形を留めていなかったが、肉や穀粒など固形物も一部あった」とマイクスナー氏は説明する。
 
DNAの分析結果から、胃の中の肉はアイベックスと判明した。山ヤギの一種で、オスの頭部からは後方に湾曲した巨大な角が伸びている。
 
当時、アイベックスは今よりはるかに多く生息し、肉を狙うハンターの絶好のターゲットだったはずだ。臆病な動物で人の気配を感じるとすぐ逃げてしまうが、熟練したハンターなら条件次第で近くまで忍び寄ることができる。「例えばオス同士のケンカ中なら、20〜50メートルぐらいまで接近できる」とマイクスナー氏は言う。エッツィが所持していた弓矢なら射程の範囲内だ。
 
マイクスナー氏は、「肉が調理されていたかどうかは不明だ。ただし腸内からは、加熱処理で発生したと見られる灰の粒子が見つかっているため可能性は高い」と指摘する。胃の中からは獣毛の束やハエも見つかっている。あまり衛生的な食事とは言えないようだ。「追われている途中ではゆっくり調理している時間もなかったと思う」。
 
今回の研究成果は、2011年6月にカリフォルニア州サンディエゴで開催された第7回ミイラ研究世界会議(7th World Congress on Mummy Studies)で発表された。

 
「アイスマン」目は茶色=5300年前の男性ミイラ―DNA解読で判明・国際チーム
 
 アルプス氷河で1991年にミイラで発見された約5300年前の中年男性「アイスマン」は、目の色が茶色で、血液型はO型、牛乳が苦手だった可能性が高いことが分かった。
 
ドイツ・サーランド大などの国際研究チームが細胞核DNAの全遺伝情報(ゲノム)を初めて解読した成果で、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに29日発表した。
 
アイスマンは新石器時代後期ごろの人類を解明するため盛んに研究されており、40代半ばで左肩に矢を受け、顔を凶器で殴られて死んだことが分かっている。2008年には細胞小器官ミトコンドリアのゲノムも解読された。
 
 
4323060718.09.MZZZZZZZ.jpg アイスマン―5000年前からきた男 ノンフィクション 知られざる世界
 
 
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