イスラム教の戒律が厳しく、家族以外の女性の素顔を見たり写真を撮ったりすることがタブーとされるサウジアラビアやクウェートで、カメラ付き携帯電話が問題となっている。
無断撮影からトラブルになったり、携帯メールでわいせつな写真が流通したりする事件が相次ぎ、カメラ付き携帯の不正使用に対し、懲役やムチ打ち刑などの厳罰が導入される予定だ。
サウジ紙アラブニュースによると、サウジ政府は近く、わいせつな写真を携帯のメールで流した場合は最高で懲役12年とムチ打ち1000回の刑とする法律を導入するという。また、最新式の携帯はインターネット接続機能があるため、ポルノサイトの閲覧に制限をかける方法も検討している。
サウジは従来「女性のプライバシーを守るため」などとして、カメラ付き携帯の販売を禁止していたが、昨年12月に解禁した。販売店がこっそり扱うなどして大量に出回っていたほか、世界の携帯市場がカメラ付きに移行していたからだ。
しかし今年1月、男が17歳の少女に乱暴する様子を携帯のカメラで撮影し、メールで流したとして別の男2人がムチ打ち1200回の刑を受けた。この事件は社会に衝撃を与え、規制論が強まったという。
相手に意識させず気軽に写真を撮れる便利さと、女性が写真に撮られることを避ける伝統との兼ね合いからのトラブルも相次いでいる。
クウェート国営通信によると、同国でも同様の問題が起きており、議会の法務委員会はこのほど、無断で携帯で他人の写真を撮った場合は懲役2年か罰金2000ディナール(約74万円)。それをメールで流通させた場合は懲役5年とする法案を可決した。