文部科学省が、第一線の専門家約2700人に科学技術の未来像を尋ね、結果をまとめた。 20年後には、がんの転移を防ぎ、マグニチュード(M)7以上の地震が予知できる?……。15年後ごろには、HIV(エイズウイルス)感染症やアトピー性皮膚炎の根治療法が普及すると予測された。 結果は、国の科学技術政策の基本方針となる「第3期科学技術基本計画」に反映させる。
文科省・科学技術政策研究所が昨秋と今年2月、大学や企業、独立行政法人などの研究者約4220人(回答率63%)にアンケート。860のテーマで、技術が開発され、社会に普及する時期を予測してもらった。 その結果、「不妊症の撲滅」は平均で15年後、「アルツハイマー(認知症)の根治療法」は20年後などと予測された。 科学者たちの予測通りなら、15年後には「時速500キロのリニアモーターカーの商業運転」や「交通事故を未然に防ぐ自動操縦装置付き自動車」も実現しそうだ。「目的地を入力すると自動運転で到着できるシステム」は20年後の実現だ。 家庭の光景も一変しそうだ。10年内には「家庭内で有線配線が不要になる」、15年後には「庭の手入れや病人介護、家事をするロボット」「兄弟姉妹や友達づきあいを疑似体験できるロボット」「専用のメガネもなく、疲れず視聴できる立体テレビ」が登場しそうだ。 その一方で、「日本独自の宇宙船」は25年後、「有人月面基地」は30年後とされた。 調査は71年から、5年に1回のペースで実施されている。