全国に約62万台あるたばこ自販機すべてが対象だ。2005年2月に喫煙による健康被害を防ぐための「たばこ規制枠組み条約」が発効し、未成年者の喫煙防止対策の徹底が義務付けられたことに対応する。
「成人識別ICカード」導入により、たばこ自販機24h深夜規制撤廃
全国たばこ販売協同組合連合会は、たばこ自販機の24時間販売を2008年内にも再開する考えを明らかにしている。屋外機に導入している深夜(午後11時〜午前5時)の販売自主規制を12年ぶりに解除する。
成人識別用ICカード「タスポ」が7月までに全国に導入されるのを受け、深夜に未成年者が自販機で購入するのを防止できると判断した。
自販機は48万2708台設置されており、このうち屋外機が約7割。
利用者が、専用のICカードを自販機の識別装置部分にかざすと、カードに記録された生年月日の情報を読み取る。カードにためた電子マネーと現金のどちらでもたばこを買うことができる。
店頭で買う場合は、本人を見て未成年かどうか判断できるほか、必要に応じて身分証明書の提示も求められるため、原則としてカードを見せる必要はないという。
運転免許証やパスポートなど、生年月日が確認できる身分証明書のコピーと本人の写真を添えて東京都内に設ける運営センターに申し込めば、写真付きカードが発行される。郵送でも受け付ける。紛失などによる再発行を含めて無料で、運営費用はたばこ業界が負担する方針。
ICカード「タスポ」は電子マネー機能
社団法人「日本たばこ協会」などの3団体は19日、未成年者の喫煙防止対策の一環として、ICカード方式の成人識別装置が付いたたばこ自動販売機を2008年から順次導入すると発表した。導入が進めば、自販機では顔写真付きのICカードを持った登録者しかたばこを購入できなくなる。
新型ICカードの名称は「タスポ」。たばことパスポートを組み合わせ命名した。たばこの購入方法は、識別ユニットと呼ばれる装置に、事前に登録したICカードを接触させる仕組み。
ICカードの発行手続きは、全国のたばこ販売店の店頭に置かれた申込用紙に記入し免許証や保険証のコピーと顔写真を合わせて、日本たばこ協会に郵送。2週間程度でカードが希望する住所に届けられる。写真代と証明書類のコピー代金は自己負担だが、郵送代は協会が負担する。カードの発行業務は、クレジットカード最大手のJCBが行う。
08年3月から全国で最初に設置する鹿児島県と宮崎県では、07年12月に受け付けを開始。それ以外の地域でも08年2月から受け付ける。ICカードは電子マネー機能も備えており、あらかじめカードにお金をためておくと、識別装置にかざすだけで、購入できる。他の電子マネーとの互換性はなく、たばこ自販機以外では使用できない。
識別装置の設置費用やカード発行などのコストは約800億円で、維持費には年約100億円かかる見通し。そのうち日本たばこ産業(JT)が約650億円を負担する。
顔写真以外に本人認証機能がないため、カードを借りて未成年が購入することもできるが、「未成年の購入が発覚すれば、カードを使用不能とする」(日本たばこ協会未成年者喫煙防止対策室の小林和之室長)などで、貸与を防止していきたい考えだ。
たばこ自販機は約62万台。喫煙者の自販機でたばこ購入比率は約50%
このため、同協会では、ICカード登録者は国内喫煙者3000万人のうちの7割程度にのぼるとみている。JCBでも、「電子マネーのついたカードとしては国内最大規模の発行枚数となる」(企画部渉外グループ)としており、他の電子マネーとの互換性が整備されれば、電子マネーの“一大勢力”となる可能性もある。
ドコモなど8社、たばこ自販機の成人識別システムを構築
NTTデータ、NECトーキン、NTTドコモ、大日本印刷、トッパン・フォームズ、トランスコスモス、日立製作所、ベルシステム24の8社は、日本たばこ協会が取り組む「たばこ自販機成人識別施策」を実現する「taspo(タスポ)システム」について、システムを構築し運用を行なっていくと発表した。2007年12月の試験導入を目指して開発されており、2008年7月には全国への導入が完了する予定としている。
「taspo」は、日本たばこ協会、全国たばこ販売協同組合連合会、日本自動販売機工業会の3団体が成人の喫煙者に発行するICカード。たばこを購入する際に自販機にtaspoをタッチしなければ購入できないシステムで、未成年者の喫煙防止を目的としている。
ICカードには非接触ICカードが採用されるほか、データセンターと自販機は無線通信網で接続される。同時に、ICカードにはJCBが提供するtaspo向けのプリペイド式電子マネー「Pidel」(ピデル)が導入される。これにより、taspoでは成人識別と同時にPidelでたばこが購入できる。
NTTドコモは自販機にFOMAユビキタスモジュールを提供し、自販機とデータデンターを接続する無線のネットワークインフラを構築する。
なお、ドコモ広報部によれば、taspoシステムのおサイフケータイへの対応などは現在予定されていないという。
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