独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は18日、太陽活動の活発化に伴う太陽フレア(爆発)の発生で、人工衛星に障害が発生していると発表した。同機構では関係機関に注意を呼びかけている。
NICTによると14日ごろから、太陽面の北半球上にある720活動領域で太陽活動が活発になり、日本時間で15日午後3時ごろ、16日午前7時半ごろ、17日午後7時ごろに大規模な太陽フレアが続けて発生したという。これにより地球周辺では磁気嵐も発生している。
現在、太陽活動は極小期に入っており、フレアの規模はトップ10に入らないが、人工衛星への障害は重大で、アメリカ航空宇宙局(NASA)の科学衛星ACEや、アメリカ国立海洋大気庁(NOAA)の気象衛星GOESで観測装置が使用できない状態になっている。
一方、KDDIが利用しているインテルサット社の通信衛星「太平洋174度804衛星」やJSATが運用している同衛星JCSAT-1Bも、電力システムや姿勢制御用の小型ジェットに障害が発生。今回の太陽嵐との関連を調べている。
NICTでは今後2、3日磁気嵐が続き、北海道でオーロラが観測される可能性もあるという。
宇宙嵐の臨時情報 http://www2.nict.go.jp/dk/c231/index.html
磁気嵐 (Magnetic Storm) 地磁気の水平成分に最も顕著に現れる急激で不規則な変化を指します。太陽フレヤーあるいはコロナ質量放出と呼ばれる現象や, 太陽面上のコロナホールからやってくる太陽風プラズマの流れに伴う圧力上昇が地球磁気圏を圧縮する事によってもたらされる地磁気の擾乱です。
磁気嵐の発達過程は, 急始部, 初相, 主相, 終相 に分けられますが、 (1)急始部では, 磁気圏の圧縮に伴って, 磁気圏境界面に流れる電流(Chapman-Ferraro電流)が強まり、地磁気の北向き成分が突然増大します。 (2)初相も磁気圏境界面電流による擾乱が卓越します。 (3)主相では, 地球を取り巻く様に分布する環電流が発達する事によってもたらされる擾乱が大きくなります。 (4)終相では環電流が減衰してゆくために, 1〜2日で地磁気は通常の値に戻ります。
また, (2)の初相以降では, 磁気圏尾部の電流層でおこる粒子加速(磁気圏サブストーム)に伴なって極域に電離層電流が流れ, 極域嵐を引き起こしますが, それによる, 磁場擾乱が磁気圏境界面電流や環電流による効果と重畳して観測されると考えられています。