芥川賞は 阿部 和重『グランド・フィナーレ』、直木賞は角田光代『対岸の彼女』がそれぞれ受賞。『対岸の彼女』は30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。性格も生活環境も全く違う2人の女性の物語。
対岸の彼女
近年まれに見る大傑作でした。人の生き方まで視野に入れ、その上で物語として上質である本作は「本好き」と自称する全ての人必読です。
人と人との関係をこれほど明確に表現した書物と出会ったことがありません。みんな人間関係で悩みます。男も女も、老いも若きもみんなです。しかし、本書のナナコの言葉は我々全てに勇気を与えてくれます。ほんとその通りです。本当に大切なものをみんな探しているんです。その大切なもの探しの中で、人間関係が絡み合ってきます。下手すると我々は自分の大切なものを守ることより、ただのつながりだけでしかない大切でない人間関係を選んでしまうことがあります。
そんな選択をしてしまう迷える我々に対して、本書にはその答えのきっかけが詰まってます。本当です。考えます。繰り返しますが、高校生以上の全ての人、必読です。
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