Nikon SPは、昭和32(1957)年9月に発売された。「ファインダーがやや暗い」などの批判もあったが軽量小型の最高機能カメラとして世界的な評価を得た。
ニコンは、1957年に発売したカメラ「ニコンSP」を復刻して販売する。一眼レフが主流になる前の「レンジファインダー方式」カメラの最高峰で、熱烈な愛好家やプロが買い求めた名機だ。
「最高のニコン」= SP 「Nikon SP」は、後年になって登場する歴史的銘機「Nikon F」や超高級機「Nikon F4」、「Nikon F5」などと比較しても、何故か「最高のニコン」という称号に最もふさわしい存在のように思える。
それは、緻密に構成された「SP」の「精密感」が他のいかなるニコンを上回っており、凛(りん)とした緊張感がカメラから感じられるからであろう。
その緊張感は名実ともに密度が極めて高い製品だけが持ち得るものではなかろうか。
SP の後継機は
このような当時の状況においても、日本光学自身は透視ファインダーカメラの持つ優れた特性、すなわち「まばたきしないファインダー」や「短いシャッタータイムラグ」を得難い利点として冷静に評価していた。"一眼レフブームが冷めれば、透視ファインダーカメラも相応の役割を分担するもの" と考え、「F」の登場後も TTL 測光の「Nikon SPX」やズームファインダーの「Nikon SPII」など、「SP」以上の連動距離計カメラの開発・試作を精力的に進めていた。
しかしとうとうその日は来ず、"「SP」シスターズ" を最後にニコンの連動距離計式透視ファインダーカメラは文字どおり絶版になってしまった。
現在、レンズ交換式透視ファインダーカメラは幾分かは実用上の理由から、多くは趣味の対象として再び注目を集めている。しかし「SP」の時代とは違い、光学機械として最先端の撮影能力を競う存在にはなり得ない。従って技術開発の対象として取り上げられることもほとんどなくなって来ている。
レンジファインダー方式は、カメラ内部にレンズと連動する距離計があり、ファインダー内の二重に見える被写体像のズレを重ね合わせてピントを合わせる。
ニコンSPは57〜65年に製造され、累計販売台数は約2万台。当時の価格は10万7500円だった。著名な写真家の木村伊兵衛や土門拳が愛用。愛好家は静かなシャッター音を「ささやくシャッター」と呼んだ。
復刻には社内OBの協力も得て、シャッター音や機器が動く作動音も再現。同社は「機械式カメラの製造技術伝承の意味もある」という。本体とレンズには製造番号が刻印される。
2500台限定で、希望小売価格は72万4500円。2月28日まで注文を受け付け、多数の時は抽選になる。
■Nikon SP 限定品