2.5センチ角のチップに現行 DVDの10万倍の情報を詰め込む次世代の記録媒体を、パイオニアが開発中だ。ハイビジョン映画なら携帯電話に約 2万本を収納することも可能になる。開発を主導する同社研究開発本部の尾上篤第2研究室長は「2010年には試作品をつくるなど形にしたい」という。
この媒体は、ハードディスク駆動装置(HDD)などの磁気記録媒体とは異なり、電圧をかけて電気を帯びさせることで情報を記憶する仕組み。リチウムとタンタルの酸化物を用いる「強誘電体」という素材を使う。0.4ナノメートル(ナノは10億分の1)という極微小の結晶が帯電して情報を記憶する。
現状で最も多くの情報を記憶できるHDDでも、情報の記録作業に関与しない空白部分が必ず存在するのに対し、この強誘電体はすべての盤面で記録作業が可能で、飛躍的に高密度に記録できる。
HDDは、技術の進歩で年3割ほどのペースで記録密度が上がっており、東芝は2.5センチ角で133ギガビットを実現しているものの、技術的には200ギガビットほどが限界で、数年以内に限界に達する見通しだ。パイオニアの強誘電体は尾上室長によると、理論的にはその1万5000倍に当たる3ペタビット(300万ギガビット)まで可能だという。