キングアーサー：映画で描かれる西洋史上最大の謎

有名な伝説「アーサー王と円卓の騎士」をスペクタクル感あふれる映像で描く歴史アドベンチャー大作。アーサー王を『すべては愛のために』のクライヴ・オーウェンが演じ、やがて王妃となるグイナヴィアに『パイレーツ・オブ・カリビアン』のキーラ・ナイトレイが扮し見事な矢さばきを見せる。

　ローマ帝国の支配下にあったかつてのイギリス、ブリテン。そこでは帝国からの独立を求めるブリテンのゲリラ＝ウォードと、残虐な侵略者であるサクソン人との間で激しい戦闘が繰り返されていた。

　ブリテンの血をひくアーサーは、この時ローマ軍の司令官として無敵を誇る＜円卓の騎士＞を率いて“ハドリアヌスの城壁”の死守に当たっていた。しかし、衰退の途にあったローマ帝国はブリテンからの撤退を決定、アーサーにはローマ教皇の名の下、サクソン人に包囲された北部の地からローマ人一家を救出せよ、との過酷な最後の指令が下される。

　　しかしアーサーはそこでローマ人により不当に囚われいたブリテン人の美しく勇敢な女性グウィネヴィアを救出する。グウィネヴィアは、ローマ帝国に仕えてブリテン人と戦うアーサーを非難、サクソン人の前に滅亡の危機に瀕したブリテンのために一緒に戦うよう迫るのだった…。

　大ヒットアドベンチャー「パイレーツ・オブ・カリビアン」を手掛けたプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーが西洋文史上最大の伝説“アーサー王と円卓の騎士”の物語に挑んだ歴史スペクタクル・ロマン。“救世主”となることを宿命づけられた英雄アーサー王の愛と闘いを壮大なスケールで映像化。監督は「トレーニング デイ」のアントワーン・フークア。出演は「すべては愛のために」のクライヴ・オーウェンと「パイレーツ・オブ・カリビアン」のキーラ・ナイトレイ。

　このような歴史や神話を描いた映画は、「トロイ」の時もそうだが昔から語り継がれている物語は，その物語が生まれた土地にとって、英雄であったり侵略者であったりと捕え方も違い、それぞれがその地域の文化となっている。映画として描かれることは、その作者の受けたイメージの具現化であり、正しい歴史ではないところが、ここような題材を扱う難しさなのかもしれない。

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アーサー王伝説とケルト伝説

アーサー王物語は、書籍により描き方は異なりますが、大別すると「アーサーと円卓の騎士の物語」から構成されています。アーサー王が主人公でなく、円卓の騎士たちそれぞれが主人公であり、お互いの間に起きた出来事、それぞれの人物に起きた試練を書き綴った物語と、聖杯の探求にまつわる物語を集めたものが「アーサー王伝説」と言えます。

伝説の中に占めるアーサー王自体の話は前半にあり、王妃グイネヴィアと円卓の騎士の一人ラーンスロットの恋物語にアーサーが入っているようなイメージであり、魔術師マーリンの指示の下、アーサーが成長して国を治めたという物語、円卓の騎士達による聖盃の探求、トリストラムとイソウドの愛の物語など、時代背景や衣装などを少し替えるだけで、現世でも十分通用するようなストーリ性を持っています。

アーサー王が駆った剣エクスキャリバーも、アーサー王物語初期では無名の剣として紹介されている場合もあり、物語の中に占める割合は非常に小さい場合すらあります。実際、アーサー王物語を創った初期伝承では「マーリン」「ラーンスロット」も出てきませんし、トリスタンとイゾルテの物語もありません。またアーサーが魔法の剣を持っていたという記述も見出すことはできません。

ここでは、一般に知られている「アーサー王物語」を、アーサー王物語としては大成といわれる、マロリーの作品から見ていくことにします。マロリーの作品でも、実在の史跡などから推定される時代と、相当な誤差を生じることになります。

たとえば、トリストラムとイソウドの物語で登場するマーク王の「ティンタージェル城」は、今も遺構の残る10世紀以降に建築された実在の建築物であり、アーサー生誕の地とされていますが、アーサーの生きた時代からはずっと未来に建築されています。

また、ティンタージェル城のあるコーンウォール地方はブリテン島南部、一方の5世紀にいたとされる「アーサー」はブリテン北部で活躍したことを考えると、物理的な思考上では、距離と年代の錯誤には、相当無理が発生します。「アーサー」は物理的時間や距離に捕らわれない長い時代と莫大な距離を駆け巡ります。

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□　ケルト神話