富士通研究所が、携帯電話で表示可能な文字デザインを、綺麗に高速に表示する携帯電話向けソフトを開発したそうですが、これは何がどうなのでしょうか?
既にシャープがLCフォントとして携帯電話に搭載していますし、またMicrosoftもアップルコンピューターからライセンスを受け、TrueTypeフォントをリリースしています。WindowsXPには、Adobe CoolTypeの技術を搭載して液晶画面でのフォント表示に際して、ClearTypeを有効にすることで、見やすくなめらかなフォントに見えるような技術も既に実装しています
ドットフォントでギザ文字と言われて酷評されていましたが、アウトラインフォントを搭載することで文字が綺麗にみえるようになります。しかし、問題はアウトラインフォントを使うと、CPUパワーを食うため、動作がもっさりしてしまう問題があり、CPUパワーと消費電力を上げられない携帯電話では大きな問題です。
これを今回の開発でクリアーにして、既にFOMA F900iCにはゴシック体のアウトラインフォント搭載が搭載されているそうです。
今回の開発では、富士通研究所とフォント開発の大手株式会社モリサワが共同で、携帯電話向けに複数の文字デザインを綺麗に高速に表示できるソフトウェアを開発したそうですが、これでギザ文字やもっさりした動作がかなり改善されるのでしょうか。
このソフトウェアにより、ゴシックや明朝といった複数の文字デザインを使用した表現豊かなコンテンツの提供や、フォントを指定したページもいつかできるようになるかもしれません。その前に、メール表現力が向上するのでは期待できます。
以下、今回の開発の経緯と概要をプレスリリースから抜粋しておきます。
『開発の背景』
現在日本で8500万人が所有している携帯電話は、高機能化が進み、様々なサービスが提供されることに伴い、複数の文字デザインを使ったコンテンツの提供やメールのやりとりなど、より表現豊かなコミュニケーションへの要求が高まってきています。
『課題』
通常、携帯電話の表示にはドットフォントが用いられていますが、複数の文字デザインを忠実に再現し、高品質な文字表示を行うフォントに、パソコンで用いられているアウトラインフォントがあります。文字画像のアウトラインデータ(輪郭データ)から、様々なデザインの文字を、綺麗に、任意のサイズで表示することが可能で、画面上で表示されたテキストの読み易さが格段に向上します。
しかし、アウトラインフォントを携帯電話に搭載するには、CPUへの負担を軽くし、表示にかかる処理速度を高速にする必要がありました。
『開発した技術』
今回開発したソフトウェアは、携帯電話で表示される文字をより綺麗に表現豊かにするためのものです。文字画像の輪郭を数学的な曲線で表し、輪郭内部を黒塗りすることで文字画像を作成するアウトラインフォントの文字画像作成を高速化することで実現しました。本ソフトウェアの特長は以下です。
1.文字輪郭の高速作成 表示ディスプレイの解像度に合わせて、文字画像の輪郭を表す数学的な曲線の一部を直線に近似することで、文字輪郭の作成時間を短縮させています。
2.文字黒塗りの高速処理 文字画像の輪郭作成と同時に、黒塗りをする領域を確定し記憶することで、輪郭内部の黒塗りにかかる処理時間を短縮させています。
『効果』
本ソフトウェアを用いることで、ゴシック体のアウトラインフォントを1画面(約100文字)あたり約0.3秒以下の実用レベルで表示することができるようになりました。今までパソコン等で使用していた、さまざまな文字デザインを携帯電話で使用することが可能になり、個人が好きな文字を利用することや、表示するコンテンツを豊かに表現することで、携帯電話の使い方を拡げることが可能となります。
『今後』
今回開発した高速の文字表示ソフトウェアは、株式会社NTTドコモから発売される「FOMA(R) F901iC」に搭載されます。
今後、本ソフトウェアで対応する文字デザインの種類を拡大させていき、好みに応じて文字デザインを選択できるようにしていきます。また、カーナビやゲーム機などへの応用を検討していきます。