「LEON」(主婦と生活社)に代表される、中高年男性が“モテル”ための情報誌が続々と創刊されているが、この流れがテレビ界にも波及してきた。
テレビ朝日系のBS朝日で放送中の「THE MEN’S TV」(日曜午後9時)はナビゲーターにミュージシャンの東儀秀樹(45)を起用。番組担当者はズバリ「ターゲットは『LEON』読者の30−40代」と言い、「単にお店の紹介だけでなく、例えばスーツの着こなし方、そば屋での“粋な食べ方”などを見せています」と特徴を説明。“大人の贅沢”と題し、ファッションや家具などで趣味性の高いものを紹介している。余計なテロップも使わず、音楽と静かなナレーションだけで構成。それが対象への関心を引き付ける効果を出す。
時岡敬プロデューサーは「雑誌的なテレビができないか、という発想で制作しましたが、情報番組のつもりはありません。BSのターゲットは、ある程度の時間とお金のある大人の男性。そこに、一つのテーマに『こんな考え方はどうだ』と言いきるんです。地上波と違い、BSは視聴率を意識せず、クリアな画質でゆったりしたテンポも似合う。それも“大人の贅沢”」と狙いを話す。
視聴者の反響も好調で、紹介した店やBGMへの問い合わせも多いという。
さらに上の年代を狙うのは、テレビ東京系のBSジャパンの「50s High!」(金曜午後9時)。俳優の萩原流行(ながれ)(51)とタレントの山口もえ(27)の2人をホストに、毎回50代中心のゲストが登場。特集コーナーでは、55歳でデビューした新人シンガーの生き方や、この世代が子との交流が希薄なことから、親が秘密にしている店で、じっくり子供と話をする様子に密着するコーナーもある。
「定年が近づき、会社人生の終わりが見える50代は、金銭的に余裕がある方が多い。そこにターゲットを絞り、ゴールデンタイムのお薦め番組です」と番組関係者。
視聴者からは「自分と違うライフスタイルを見て、『趣味が増えた』『自分も頑張りたい』といった声が寄せられている」(同)という。
さて、なぜ今、中高年向けのテレビ、雑誌が多いのか−。
マーケティングコンサルタントの西川りゅうじんさんは、「いつまでも若いつもりでいるこじゃれたオヤジ、“コヤジ”のビジネスは調子がいい。70年代後半にポパイなどのカタログ雑誌で育った世代が40代になり、自分のものにお金を使えるようになってきた。独身も多く、気楽だから先のことを考えずに自分のこだわりのものを買うという消費行動につながっている」とその背景を分析する。
その浸透度では、地上波とは大きな差のあるBS放送だが、“コヤジ”ファンを獲得し、存在感を示したいところか。
■ LEON 12月号 - 主婦と生活社 ■ THE MEN'S TV - テレビ朝日 ■ 50s High! - BSジャパン ■ コヤジが日本を元気にする! - 「コヤジ」の定義、ライフスタイルに関する西川りゅうじん氏のコラム。