ウイリアムズはバトンとBARの契約の“抜け穴”を突き、それによりバトンが来季ウイリアムズへ移籍することは可能であると主張し、一方BAR側は同チームが有するバトンとの契約は完璧であるとしてきた。
両チームはCRBが下す裁定に従うことに同意していたため、ウイリアムズが今回の決定に対し控訴を行うことはないだろう。
来季ウイリアムズは、アントニオ・ピッツォニアがマーク・ウエーバーの僚友となり、戦うことになるかもしれない。一方、バトンの後釜を狙っていたデイビッド・クルサードとアンソニー・デイビッドソンにとっては、期待外れの結果になるだろう。
ジェンソン・バトンは2005年B・A・R Hondaに乗りたくない?
契約承認委員会(CRB)が必死に結論を出そうとしている中、イギリスのタブロイド紙『ピープル』が、ジェンソン・バトンはもしCRBがB・A・Rに有利な判決を下したとしても、B・A・R Hondaに乗ることを断るだろうと報じた。
もしその報道が正しいとすれば、チームはドライバーに走ることを強制できないため、来シーズン、バトンは参戦しないといった状況になりそうだ。BMWウィリアムズがバトン獲得の為にB・ A・R Hondaにお金を払うこともありえるが、ウィリアムズは伝統的に、ドライバーの給料のこととなると保守的だ。B・A・R Hondaにお金を使うよりも、むしろチームの設備にお金をかけることを望むだろう。そうするとバトンの移籍は延期になってしまう。
リチャーズ 今日バトンと話し合いへ
今日のインテルラゴスのパドックにおいて、BARチーム代表のデビッド・リチャーズとジェンソン・バトンは話し合いを行なうことになる。昨日、契約承認委員会が発表したバトンの来季契約に関する決定は、BARの契約が有効であるというものだった。
発表直後、サンパウロにおいてメディアにコメントしたリチャーズは、「ジェンソンと徹底的に話し合いを行なうまで、現時点では話したくない」と語った。
昨年、そして今年のチーム大躍進の重要な部分を担ってきたバトンをチームに留めることができ、喜んでいるというBARチーム。一方のフランク・ウィリアムズは、バトンの契約を奪うための争いを繰り広げるつもりはないようだ。さらに、ある情報によると、リチャーズはフランクに対していくら金を積んでもバトンの契約を譲るつもりはないと言及したという。
「もちろん、我々はがっかりしている」と、フランク・ウィリアムズ。「ジェンソンは獲得するためにチャレンジする価値のあるドライバーであり、我々は後悔していない」
バトン ボクは間違ったアドバイスを受けていた
ジェンソン・バトンは、彼のマネージメントが不正なウィリアムズへの移籍を実行したことについて不満を明らかにしている。移籍が実現しなかっただけでなく、今回の件でバトンには“不誠実”であるとか、“脱走者”であるなどと言った不名誉な形容が語られてしまった。
「1人の人物からではなく、人々のグループによってボクは間違ったアドバイスを受けていたと思う」と、サンパウロで語ったジェンソン。
しかし、メディアレポートは来年からジョン・バイフィールドに代わってジャガーのPR担当であるナヴ・シデュがバトンのマネージメントを受け持つという噂を否定している。
だが、シデュは以前にバトンと2人で仕事をするつもりだと語っていた。
バリチェロとクルサード バトンに同情
F1において最も経験豊かなドライバーのうちの2人、ルーベンス・バリチェロとデビッド・クルサードはジェンソン・バトンに同情している。来季からウィリアムズへ移籍することを熱望していたバトンだったが、契約承認委員会の決定によってそれは叶わなくなってしまった。
「彼にとってはハードなものになると思う」と、バリチェロ。「もう好きじゃなくなったガールフレンドとキスしろと言われているようなものさ。他にガールフレンドがいるのにね」
クルサードも同じように、すでに信頼関係を失ったBARチームでもう1年過ごすことはバトンにとってタフだと述べている。
「彼は“ノーコメント”と答えるだろうね。なぜなら、今の彼の仕事は少なくともあと1年間、チームとの信頼関係を持続させることだからね」