睡眠の深さを脈拍から判定する世界初の携帯型「睡眠計」を東芝が開発した。
家庭で手軽に睡眠状態のチェックが出来るうえ、様々な病気や事故の引き金になる恐れがあるとされる睡眠時無呼吸症候群の判定も可能だ。2年以内に製品化を目指すという。
睡眠を制御しているのは脳幹と呼ばれる組織。この脳幹の活動は自律神経を通じ、心拍数や呼吸数と密接に結びついている。心拍の間隔の変化を解析することにより、間接的に睡眠の状態を判定しようというのが、今回開発された「睡眠計」の基本的な原理だ。
測定の具体的な段取りは、指先で計測した脈拍のデータを腕時計型の機器からパソコンに無線送信し、睡眠状態判定ソフトが深い睡眠、浅い睡眠など3段階に分けて判断する――というもの。光センサーを使って指先の血管から血中ヘモグロビンの酸素量を割り出すことにより、睡眠時無呼吸症候群のチェックも出来る。10代から70代の男女40人で延べ60日間行った実験では、この「睡眠計」の判定結果は、本格的な脳波検査による判定結果と75%までが一致し、昭和大医学部から「家庭用計測器として十分使用可能」とのお墨付きを得た。
東芝研究開発センターの鈴木琢治研究主務は「睡眠の状態に合わせて、エアコンや照明、ステレオなどを活用すれば、快適な眠りや気持ち良い目覚めを実現できる」と話している。