これまで何度も話題として取り上げている王家衛監督の新作「2046」。
1999年4月にクランクインするも、幾度のトラブルを経て2000年4月に撮影が中断。製作中止の噂も流れた3年半の沈黙の後、昨年10月に撮影を再開し、ようやく先日のカンヌ国際映画祭で初お披露目となった。
カンヌ国際映画祭では残念ながら無冠に終わり、パルムドールを獲得したマイケル・ムーア監督の「Fahrenheit 9/11(華氏911)」や史上最年少の男優賞を受賞した柳楽優弥の話題に隠れてしまい、「2046」についての情報はあまり伝わって来なかったが、何はともあれ、無事に完成したことが分かっただけでもホッとした。ここまで長い、長い道のりだった。
昨年の撮影再開時にも日本のマスコミが「2046」をこぞって取り上げていたが、その話題の中心はほとんどが木村拓哉。日本での「2046」の扱いは「王家衛監督の新作」でも「アジアのスターが結集した作品」でもなく、「木村拓哉の海外進出作品」という色が非常に強く出ている。
アジア映画好きとしては残念な状況が、まあ例え木村拓哉目当てでも、結果として王家衛監督やアジアの映画に興味を持つ人が少しでも増えるのであれば、そういった扱いが悪いと決めつけることも無いのかなと。。。
かねてから伝わっていた情報では、「2046」の中で木村拓哉が演じているのは殺し屋役。それ以上の情報は残念ながらほとんど出回っていなかった。それくらい、ベールに包まれた作品だった。ほかの出演者に関してもトニー・レオン、コン・リー、マギー・チャン、フェイ・ウォン、チャン・ツィイー、チャン・チェンといったまさにアジアのスターが勢揃いということ以外は、あまり詳しい情報は出ていなかったように思う。
この出演者に序列を付けるとすると、木村拓哉がトニー・レオンやコン・リーと同列ということは有り得ず、マギー・チャンやフェイ・ウォン、チャン・ツィイーと同列というのも微妙なところ。
これまでの世界的なキャリアが全然違う。チャン・チェンもアジア圏では人気の若手俳優が、木村拓哉を無理矢理序列に突っ込むとしたら、チャン・チェンと同じくらいの位置か。まあ、これは感覚の問題なので「違う!もっと上だ!」という人もいるかもしれないなりが、逆に「もっと下だ!」という意見もあるかも。
ちなみに「2046」の日本語公式ページにクレジットされている出演者の序列は上からトニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイー、カリーナ・ラウ、チャン・チェン、マギー・チャン、ドン・ジェの順番。日本での知名度に配慮した並びだと思うが、それにしたって木村拓哉が2番目か……。
あくまでも日本では「2046」を「木村拓哉出演の香港映画」という売り込み方をしていくようだが、気になるのは作品の中でどの程度の扱いになっているのか、ということ。作品の中で重要なポジションにいるのであれば、クレジットの序列が2番目でも納得のしようはあると思う。王家衛監督も木村拓哉について「タクは映画界の大事な宝」とコメントを出しているほどなので、きっと重要な役柄に違いない。
そう思っていたら、日刊ゲンダイの「14歳少年の出現で吹っ飛ばされたキムタクの世界デビュー」という記事にその答えが載っていた。記事によれば、「125分の上映時間のうち、木村の出演はわずか7分程度。出演場面も7,8シーンと小粒な扱い」なのだとか。
7分?。カンヌ国際映画祭で上映されたバージョンは時間ギリギリのところで編集されたバージョンなので、もしかしたら劇場公開時には別のバージョンになる可能性はまだ残されているなりが、それにしても7,8シーンとは。
あぁ、なんだか木村拓哉ファンの怒りの顔と、怒りのコメントが見えて来た。「全然キムタク出てないじゃん!」「つまんない映画!」などなど。観た人にギャップを感じさせるようなパブリシティは絶対止めたほうが良さそうな気がしてますが。。。
日本で「2046」が公開されるのは今年の秋頃。どうか「木村拓哉ファンの感想」=「『2046』」や王家衛監督の評価」に繋がりませんように……。