OQOのUPC製品には、Transmetaの1GHzで動作するプロセッサが積まれており、サイズはPDAと同等。縦3インチx横4インチのこのコンピュータは1インチ以下の薄さで、5インチの画面が付属する(同社ウェブサイト)。またキーボードを使用する際には、画面を上方にスライドさせる仕組みになっている。
OQOが小型化を実現できた理由の1つは、このコンピュータが通常のPCチップより消費電力の少ない1GHzのTransmetaプロセッサを採用しているためだ。また同機は、20Gバイトのハードディスクと256Mバイトのメモリを搭載する。
この超小型PCは、2002年4月にデザインが初公開され、同年末までにはリリースされるはずだった。しかし、同社は2度にわたって発売の延期を余儀なくされた。OQOに近い情報筋によると、同社は昨年末にベンチャー事業投資家からの操業用現金の提供を受けたという。
同社と競合するAntelope Technologiesは、IBM向けに設計したマシンをベースに同様のデバイスをつくっているが、同社のほうはすでに製品をリリースしている。しかし、Antelopeのコンピュータは約4000ドルと高価だ。これに対し、OQOでは1000〜2000ドルの価格帯のマシンを投入し、より幅広いユーザー層をねらいたい考えだという。
Microsoft共同創業者のPaul Allenが出資するVulcan Venturesも、自社のMini-PCリファレンスデザインによって小型PCの普及促進を試みている。
チップメーカーの米Transmetaは、PCメーカーがビジネス向けの新しい製品カテゴリをつくり出すのに力を貸している。いま同社が狙っているのはUPCと呼ばれる超小型のPCだ。
Transmeta、「Ultra-Personal Computer」(UPC)と呼ばれる超小型コンピュータの開発に同社のチップが使われている
<<UPDATE:20041014>>
Windows XP搭載の超小型PC「OQO model 01 ultra personal computer(UPC)」の販売が開始された。価格はWindows XP Home搭載モデルがUS$1899.00、Windows XP Professional搭載モデルがUS$1999.00。プラスUS$300.00でOffice Small Business Editionがプリインストールされる。
OQO UPCは、米OQOが開発を進めてきたPDAサイズの小型PC。WinHEC 2002で話題となり、その後、米Liquidmetal Technologiesの「Bulk Liquidmetal」アモルファス合金ボディを採用するなど、散発的に情報がリリースされてはきたものの、正式な発売日などはこれまで発表されていなかった。
今回販売が開始されたのは、同社ウェブサイトなど。その詳細によれば、本体サイズは4.9×3.4×0.9インチ(約124×86×23mm)、重量は14オンス(約396.9g)、液晶は5インチワイドVGA(800×480)半透明型ディスプレイを搭載。主要スペックは、CPUがCrusoe TM5800(1GHz)、メモリが256MB DDR RAM 、HDDが20GB、バッテリ駆動時間が約3時間。802.11b ワイヤレスLAN、Bluetoothに対応し、インタフェースには、USB1.1、IEEE1394、Audio out、Microphone、同梱されるドッキングケーブルには、VGA(1280×1024)video output、USB、IEEE1394、Ethernet、Audio out、電源が装備されている。
デザイン面では特に大きな変更は無いようで、CES2004での展示通り、スライド式のTrackStik、マウスボタン付きキーボードを装備。そのほか、デジタルペン、thumbwheelが付属するようだ。
OQOの超小型PCに厳しい評価
ついに発売されたWindows XP搭載の超小型PC「OQO model 01」。新し物好きの興味は引くものの、米各誌コラムニストの評価はいまひとつ。
フル機能のWindows XPを搭載しながら、サイズはノートPCの数分の一という、デジタル好きの夢をかなえるマシンに思えた「OQO Model 01」だが、その評価は厳しい。
数カ月前からうわさされていたOQO Model 01は、ついに今月、1899ドルで発売された(10月15日の記事参照)。ほとんどの批評家は、このマシンの可能性は認めつつも、デザインと使い勝手に関する重大な欠点を指摘している。
OQOは、ポータブルコンピューティングの概念を大きく変える製品だ。palmOneのTreoなどの比較的安価なPDAは、独自のソフトウェアを採用しており、PCとはデータをシンクロさせる必要があるのだが、OQOは会社や家で使っているコンピュータと同じソフトウェアを使うことができる。
なんの設定もせずに、高速なWi-Fi無線ネットワークに接続したり、デジタルカメラやビデオカメラ、プリンタをつなげることができ、標準サイズのモニタやキーボードに接続して使うこともできる。モバイル用には、スクリーンをスライドさせると現れるフルキーボード、メニューをさっと選べるスタイラス、マウスボタンが用意されている。
それでも、Model 01と名付けられたOQOの製品は、批評家らが期待したレベルには達していないようだ。まず、OQOにはFDDやCDドライブが内蔵されておらず、ソフトウェアをインストールするのにアドオンの機器を必要とする(Webサイトからダウンロードする場合は別だが)。
また、何人かの批評家が指摘していることだが、マシンはかなり熱くなり、Transmeta製低電圧マイクロプロセッサのパワーを余分に使っているようだ。さらに、OQOの価格であれば、このような妥協点のない軽量薄型ノートPCが買えるという指摘も多い。
OQOは
「一般市場に受け入れられるには扱いにくいし高価すぎる」
とPC Magazine編集長のマイケル・ミラー氏は言う。USA Todayのテクノロジー・コラムニストは、OQOは「賢い」が、改善すべき点もあると言う。PC Worldは、
「せっかくのアイデアを、デザインと性能が損なっている」
と評している。
しかし、OQOの最高経営責任者ジョリー・ベル氏は、この製品をノートPCとしてレビューすることにより、ほとんどの批評家がポイントを外していると主張する。
「コンピュータとしての機能が部分的にしかないPDAのようにデータをシンクロナイズする必要はなく、いつもポケットに自分のコンピュータを入れて歩けることによる利点と大きな変化について触れていないレビューが幾つかある」
とベル氏はあるインタビューに答えている。
「ポケッタビリティ」の利点とその代償をめぐる議論は、しばらく結論が出そうにない。
手のひらサイズのコンピュータは、Microsoftの共同創立者ポール・アレン氏の会社FlipStartからも発売される予定だ。ソニーも日本でのみだが同様のコンピュータを販売している。今のところ、米国市場で手に入るこの手のマシンは重さ400グラムのOQOだけだ。
OQOは、5人の創立者によって、4年の歳月をかけて開発された。創立者の1人であるベル氏は、Apple Computerと、IBMの研究部門で働いていた経歴を持つ。
ベンチャーキャピタルから資金を得て、現在の従業員は50人だが、半年のうちに200人になるだろう、とベル氏は言う。
製品が世に出た今、同社はModel 01に携帯電話の機能を追加するモジュールの開発にかかっている。ベル氏によれば、Flextronicsと製造委託契約を結んだが、初期の需要に生産が追いつかないという。
OQOは、その薄型デザインと奇抜な外観で、新し物好きの注意を引いているほか、ゴールデンアワーのテレビでも時々紹介されている。しかし、だからといって市場でのヒットを保証されたわけではない。
ベル氏は、「Model 02」投入計画について論じようとしない。「バージョン1が成功すれば、バージョン2に取り掛かろうという話になる」とする。
■OQO:http://www.oqo.com/
■ 「OQO Model 2」モデル