2004年F1シーズンを争う名門ジャガーが、F1からの撤退を発表しました。現在のジャガーは米フォード・モーター傘下で英高級自動車メーカーとして残っていますが、英国内の生産拠点の集約や経営状況は厳しいようです。。フォード参加のマツダもル・マンから撤退してしまいましたから仕方ないのでしょうか、寂しい限りですね。
ジャガーの経営改善策は、2005年9月に英コベントリーのブラウンズレーンの組み立て工場を閉鎖、人員約1150人を削減。組み立て業務は英バーミンガムのカッスルブロムウィッチ工場へ集約し、ブラウンズレーンは高級車に使うベニヤ板の製造に特化すると発表されています。
2000年に参入したF1は今シーズン限りで撤退。グリーンウェル・ジャガー会長はF1参戦は「英米以外の市場でブランド力を高めるのに役立ったが、現在は中心事業に集中すべき時」と述べた。F1関連事業は売却する。
ジャガーはフォードの高級車部門プレミアオートグループに属する。同グループは主力の米国市場での販売不振から、2004年4―6月期の赤字が膨らみ、生産効率が劣るジャガーの再建が急務になっていた。
声明によると、フォードがジャガーブランドをF1から撤退させるのは、資金をコアなビジネスに集中させる戦略の一部であると説明されている。このニュースは、ジャガー・レーシング・F1チームにとってはかなり厳しいものとなった。今週のはじめ、マネージングディレクターのデビッド・ピッチフォースは、ジャガーは2005年においてフォードから多くの資金を得ることができるだろうと自信を見せていた。
フォードはすでに、F1における露出はジョーダンへのエンジン供給という形で獲得している。ジャガーがF1をリードするフェラーリやルノーと同じレベルで戦うためには、フォードはかなりの資金をジャガーに投入しなければならず、1000人の失業者を出したこの段階で、それは不可能であるとフォードは判断したようだ。
2004年シーズンにおいてフェラーリは約650億円の資金をF1プロジェクトに投入していると言われているが、ジャガーの場合は約200億円と見積もられている。彼らのパフォーマンスの限界は、その資金力の限界を反映している。今年のチームのベストリザルトは、ホッケンハイムでのマーク・ウェーバーの6位と、同じくスパ・フランコルシャンでのクリスチャン・クリエンの6位にとどまっている。
フォード撤退表明の波紋
フォードがF1撤退を発表した。その結果、ジャガー・レーシング・チームは売りに出されることになり、F1界にも激震が走った。
チームの売却先が決まらなければ、来年のオーストラリアGPには18台のマシンしか出走できなくなり、コンコルド協定の定める最低ラインを2台下回ることになってしまう。そうなると、場合によっては規約を満たすためにいくつかのチームが3台のマシンを走らせるということも必要になってくる。
フォードが行っていたコスワースのエンジンプログラムへの援助も打ち切られることになるため、ジョーダンとミナルディは資金を追加して現行のコスワース・エンジン使用の許可を求めるか、あるいはそれに代わる新たなエンジン・サプライヤーを見つけなければならない。しかし、状況ははっきりしないままだ。
クリスチャン・クリエンはシート喪失の危機に直面し、ジャガー・レーシングのスタッフは不安を抱えたまま冬を迎えることになり、新たな雇用先を探すか、チームの売却先が決まるのを待つしかない。
先行きは不透明な情勢で解決策は乏しく、F1にとってはつらい1日となった。