株式会社電通の消費者研究センターは、本年7月に行ったインターネット調査から「2004年上半期の話題商品」の分析を行った。同時に、消費者が選ぶ今年上半期の話題商品ベスト10が明らかになった。
2004年上半期は、景気の見通しが好転してきたことを反映して、前向きな消費トレンドが復活の兆しを見せた。「デジタル一眼レフカメラ」、「プレミアムシャンプー」、「豪華旅行」など上流志向の消費からは、デフレ時代に影をひそめていた「高くても品質にこだわる」、「ゆとりを演出したい」というニーズを読み取ることができる。“私は特別”というセレブ気分を味わう心の余裕も出てきたといえる。 自分の内側から熱くなることができるコンテンツも人気を集めた。「冬のソナタ」、「世界の中心で、愛をさけぶ」のような純愛ストーリーや、潔い男気を前面に出した「ラストサムライ」、「ハルウララ」など、観る側の本能を刺激し、感性に直接訴えてくるので、鬱憤が洗い流されるようなカタルシスを得ることができる。精神的にもすっきりしたい、解放されたいという消費者の欲求が強くなっている。 これまでの“癒し”ブームは、誰かが苦痛を取り除いてくれるのを受け身で待っているというものだったが、今年は“癒し”に代わって、積極的に快適空間を創ろうとする意志が話題商品に表れている。「薄型テレビ」、「着うたケータイ」、「携帯型デジタルオーディオプレーヤー」、「ハウスダスト対策商品」、「オール電化住宅」、「部屋干し関連商品」など、ウチでもソトでも自分流に工夫して居心地のよい空間を確保しようとする先取り的な動きである。 −消費者が選んだ2004年上半期の話題商品ベスト10− 1位 アテネオリンピック 2位 DVDレコーダー 3位 にがり商品 4位 ペ・ヨンジュン(ヨン様) 5位 「ラストサムライ」 6位 「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」 7位 ハルウララ 8位 「世界の中心で、愛をさけぶ」 9位 パケット定額制 10位 薄型テレビ ※以上は、約160アイテムのヒット商品候補を対象としたインターネット調査で、「知っている」、「おもしろいと思う」、「自分の周りで話題になっている」、「世の中ではやっていると思う」の4項目を合計して指数化し、上位10位となった商品 2004年上半期の話題商品 5つのトレンド トレンド(1)「感情を揺さぶるカタルシス」 スポーツ、純愛、そして男気を前面に出した“闘い系”の映画やドラマ・・・偽りや飾りのないありのままの感情を、抑えることなく溢れ出るままに表現する。観る側の本能が刺激され、感性にすぐ訴えてくる。実際の生活では表に出しづらいあらわな感情を代わりに表現してくれるので、鬱憤がザーッと洗い流されるようなカタルシスが得られる。社会全体が白けた感じのところに、自分の内側から熱くなれるコンテンツが多くの人に求められた。
●ペ・ヨンジュン(ヨン様) ●韓流(「冬のソナタ」をはじめとする韓国の映画・ドラマ・音楽などの流行現象) ●「世界の中心で、愛をさけぶ」 ●「ロード・オブ・ザ・リング王の帰還」 ●「ラストサムライ」 ●ハルウララ ●「ファインディング・ニモ」 ●「牡丹と薔薇」 ●クイーン ●芥川賞コンビ(綿矢りさ&金原ひとみ) ●アテネ五輪 ●霊能力者 トレンド(2)「戻ってきたゴージャス」 景気の見通しが好転してきたのと時を同じくして、上流志向の消費が復活の兆しを見せてきた。デフレ時代に影をひそめていた「高くても品質にこだわる」「ゆとりを演出したい」というニーズが話題商品にも反映されている。「クラス感」「あなたは特別よ」というセレブ気分が味わえるモノを生活に取り入れる余裕が出てきたといえるだろう。 ●デジタル一眼レフカメラ ●プレミアムシャンプー ●ハウスウェディング ●スパークリングワイン ●長期熟成ビール ●邸宅レストラン ●タワーマンション ●高級ミニバン ●豪華旅行 ●ジュニアコスメ商品