歌劇「ホフマン物語」の原譜発見 不正捜査でひょっこり
「天国と地獄」で知られる作曲家、オッフェンバック(1819〜80)の代表作「ホフマン物語」の原作楽譜がパリ・オペラ座で発見された。117年前に焼失したと考えられていたが、このほど書庫係の不正の捜査をきっかけに書類箱の中から偶然見つかり、専門家が本物と確認した。
「ホフマン物語」はドイツの作家ホフマンの短編を素材にした幻想的な作品。オペレッタの父と呼ばれるオッフェンバックが残した唯一といえる本格オペラで、死の翌年にパリ・オペラコミック座で初演、同年中に100回以上も上演される大成功を収めた。
ただ、初演直後から指揮者や舞台監督が何度も手を加えたため、いくつもの「ホフマン物語」が現在に伝えられている。作曲家本人が目を通した原作の楽譜は1887年5月、コミック座の火事で失われたというのが音楽史の定説だった。
オペラ座によると、書庫で発見された楽譜は模写職人が清書したものだが、オッフェンバック自身による再修正も書き込まれていた。1881年2月の初演時に舞台で使われ、作品の人気を決定づけたバージョンと見られる。楽譜は仏国立博物館で保存される。